建機の“見上げ感”を3Dで再現!コマツが業界初の5面VRシステムを導入
2015年8月4日

管理人のイエイリです。

建設機械を開発するとき、オペレーターや整備者が作業しやすいように設計することが求められます。

特にフォークリフトの操作では、オペレーターが荷物の上げ下げや運搬に使う「フォーク(つめ)」を見上げる機会が多く、運転席から上方を見上げて確認しやすいかどうかが重要です。

フォークリフトのCGイメージ。運転席から上方を見上げやすいかどうかが設計のポイントだ(以下の写真:日本SGI)

フォークリフトのCGイメージ。運転席から上方を見上げやすいかどうかが設計のポイントだ(以下の写真:日本SGI)

そこでコマツは同社小山工場(栃木県小山市)の「小山テクニカルセンタ」に、設計中の建機をリアルに体感できる設計・開発用バーチャルリアリティー(以下、VR)装置「5面VRシステム」を導入し、7月1日に本番稼働を開始しました。

この5面VRシステムには

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

正面、左、右、床、天井

 

の各面にスクリーンを備え、それぞれの面にオペレーターから見た建機を3Dで立体投影することができるのです。

天井面を備えた5面VRシステムの導入は、国内の建機業界では初めてとのことです。

コマツの小山工場が導入した「5面VRシステム」

コマツの小山工場が導入した「5面VRシステム」

オペレーターや整備者は、3Dメガネをかけてシステムの座席に座ると、まるで実機の操縦席に座ったような感じで運転席からの操作性や視界、安全性を体感できます。その結果をリアルタイムに3次元CADデータに反映できます。

また、ポンプやエンジンなどの部品の点検や整備も、実物を扱うように確認できるので、整備性や小修理の検討、評価も効果的に行えます。

さらに第三者が別のモニターを通してオペレーターや整備者の動作や視点、機械の動きを客観的に確認することもできます。

このシステムは5面のスクリーン、米クリスティ・デジタル・システムズ社製プロジェクター、独ART社製モーションキャプチャー用光学式カメラからなっています。

スクリーン全体の大きさは、幅3.8m、高さ2.4m、奥行き2.4mで様々なフォークリフトを実物大で投影できます。

また、立体視処理にはNVIDIA製の最上位GPUを搭載した日本SGIのビジュアライゼーション専用システム、「Asterism(アステリズム)」を5台も使用しているとのことです。

パソコンで作成したCADモデルをバーチャル空間に表示する自動立体表示化ソフトは、仏TechViz社の「TechViz XL」を使っています。

コマツは建設機械の開発力を強化するために、2011年から主力工場にVR装置の導入を進めてきました。

これまでに

 

大阪工場、茨城工場、粟津工場

 

にVR装置が導入され、実績と効果が評価されたため、今回、小山工場に最新鋭機が導入されました。

いくつかの設計案を、このシステムで仮想の作業を行い、操作効率を比較すれば設計段階から使いやすい建機の設計案に絞り込んでいくのに大いに役立ちそうですね。

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