管理人のイエイリです。
造成工事やダム工事などの切り土、盛り土工事では、現場全体の地形が時々刻々と変化します。広大な現場の現地形を測量し、進ちょく状況を管理するのは、従来のトータルステーションを使った作業では大変な手間ひまがかかっていました。
そこで鹿島は3次元図面作成を手がけるリカノス(本社:山形市)と共同で、ドローンによる空撮写真を使った施工管理システムを開発しました。
ドローンで空撮した写真をパソコンソフトで合成し、造成現場などの高精度な3D図面を作成。そのデータを3次元CADソフトなどに読み込んで土量計算や進ちょく管理を行うものですが、2ha程度の現場なら空撮は約10分で完了します。
そのため、手間ひまがかかっていた現場の計測は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
昼休みにドローンを飛ばす
だけで終了してしまうのです。重機が稼働していない時間帯に計測が完了するので安全ですね。
写真のデータ処理の際に目印となる「ターゲット」という基準点がいくつか必要ですが、地形変更を行わない場所に設置しておくと手間は1回だけで済みます。
空撮した写真から3D図面を作成する時間も、2ha程度の広さなら4~5時間で完了します。そのため、地上型3Dスキャナーなら2人工、トータルステーションだと10人工かかっていた作業が、このシステムならわずか1人工になります。
また、高価な3Dスキャナーを使わないので、コストも地上型3Dスキャナーの4分の1、トータルステーションの5分の1とリーズナブルです。
気になる精度ですが、簡単に使えるドローンだと±10cmとやや大きいのが普通です。
そこで鹿島とリカノスは搭載するカメラなどの機器選定、使用ソフトの組み合わせ、補正プログラムの高度化、作業方法の最適化といった改良を積み重ねることで、
誤差を±6cm
まで高まることに成功しました。
その結果、土量計算などの精度を必要とする業務にも十分使えるようになりました。
鹿島はこのシステムの精度をさらに向上させ、地盤沈下の計測や情報化施工への応用も進めるほか、ダム現場などの土量管理や出来形管理などにも積極的に使っていく方針です。
また、現場のCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)用の3モデルを作るときにも大い活用できそうです。
土工の現場は、今、最もワクワクするスポットになりつつありますね。