エネルギー完全自給に挑戦!ミサワ、京セラが奈良県内で実証実験
2015年9月25日

管理人のイエイリです。

最近のスマートハウスは、「創エネ」「省エネ」「蓄エネ」の機器が付いているだけでなく、建物自体を断熱性や通風性に優れた設計にすることで、トータルな性能を高める工夫がなされています。

その結果、年間に太陽光パネルで発電する電力が、電力会社から購入する電力より上回る「ネット・ゼロ・エネルギーハウス」も珍しくなりつつあります。

そこでミサワホーム、ミサワホーム総合研究所、京セラは奈良県北葛城郡王寺町の「ヒルズガーデン王寺」内に建設したモデル住宅で、さらに一歩進んだ「エネルギー自家消費型住宅」の実証実験を2015年10月からスタートすることになりました。

奈良県内に建設されたモデル住宅。木質パネル接着工法で、延べ床面積は112.41m2(以下の写真、資料:ミサワホーム、京セラ)

奈良県内に建設されたモデル住宅。木質パネル接着工法で、延べ床面積は112.41m2(以下の写真、資料:ミサワホーム、京セラ)

電気やガスの供給が止まったときに、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

自家発電のエネルギーだけ

 

で、安心した生活がどの程度、継続できるのかを分析しようという実験なのです。

モデル住宅はミサワホームが昨年度から標準化している高性能断熱材仕様と、樹脂サッシを採用することで建物の断熱性を高めています。

また、室内の風通しを「南北通風設計」により高め、地窓や高窓の開閉やエアコン、シーリングファンのオンオフを自動制御して、排熱と涼風の取り込みを行う「涼風制御システム」を採用しました。

住宅の空調負荷を高める西日対策としては、日よけスクリーンも導入するなど、徹底した省エネ化を図っています。

このほか、給湯器には電気とガスでお湯を沸かせるハイブリッド給湯・暖房システム「ECO ONE」(リンナイ製)を採用しました。

京セラ製の太陽光発電システムは6.6kW

京セラ製の太陽光発電システムは6.6kW

マルチDCリンクを採用した京セラ製のリチウムイオン蓄電システム

マルチDCリンクを採用した京セラ製のリチウムイオン蓄電システム

窓の開閉とシーリングファン、エアコンが連動する涼風制御システム

窓の開閉とシーリングファン、エアコンが連動する涼風制御システム

蓄電システム用のモニターも京セラ製

蓄電システム用のモニターも京セラ製

創エネ装置としては、発電容量6.6kWの京セラ製太陽光発電システムを採用し、停電時には自動的に自立出力モードに切り替わり、発電した電力のうち最大3kWを蓄電しながら、最大3kWを使えるという余裕があります。

そして注目すべきは蓄エネ装置です。これまでは太陽光発電の電気は直流(DC)から交流(AC)に変換し、さらにACからDCに変換して蓄電池に充電するというAC・DC変換のロスがありました。

ところが、この住宅では「マルチDCリンクタイプ」の蓄電システムを採用しており、太陽光パネルで発電した

 

直流電力をそのまま充電

 

することができるのです。

そのため、充電効率が従来品の89.8%から96.0%と、約6%も向上しました。

太陽光パネルからのDC電力をそのまま充電し、効率を高めた蓄電システム(上)

太陽光パネルからのDC電力をそのまま充電し、効率を高めた蓄電システム(上)

今回の実験は、ミサワホームの防災・減災ソリューション「MISAWA-LCP」の一貫として行います。複数の世帯にこの住宅に住んでもらい、非常時を想定した家電使用スケジュールでの生活や停電後の部屋ごとの温度や湿度、電力使用量などを調査します。

太陽光発電の発電コストはこれまで高いと言われていましたが、既存の系統電力の電力価格と同等になる「グリッドパリティ」の達成も間近だそうです。

これまでは電力会社への「売電」が太陽光発電導入の大きな動機になっていましたが、今後は平常時でも「エネルギー完全自給自足」を目指す新しいトレンドが生まれてくるかもしれませんね。

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