水圧で高さ測定!大林組が開発したトンネル変位計の気になる精度
2015年9月10日

管理人のイエイリです。

トンネル現場でまず気になるのは、トンネル天井が地山に押されて落ちてこないかどうかです。

と同時に、地質が弱い地山では、「インバート」と呼ばれるトンネル底部が隆起してくる場合もあります。

そこでトンネル現場では、鉛直方向の変位を連続的に計測したいのですが、施工中は重機やダンプトラックなどがトンネル内を頻繁に通行するため、路盤に基準点を設けての計測がしにくいのが現状です。

トンネル内空の変位計測(以下の資料、写真:大林組)

トンネル内空の変位計測(以下の資料、写真:大林組)

そこで大林組は、施工中でもインバート部分の隆起をリアルタイムに思う存分測定できる「インバート変位計」を開発しました。

路盤からインバートまでは土砂などで埋まっているので、計測機などを設置して長さを直接測るのは難しそうですが、大林組は水を満たしたビニール管を使い、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

水圧の変化を測定

 

することで、この問題をクリアしたのです。

インバート変位計の仕組み。インバート部分が隆起すると水圧計で水圧の変化を検知する

インバート変位計の仕組み。インバート部分が隆起すると水圧計で水圧の変化を検知する

トンネル側面に鉛直変位計測の基準部を設けておき、そこからインバートの壁面に沿って水圧計付きのビニール管を設置します。

インバートが隆起すると水圧計の位置も上がるので水圧が減少し、その値から鉛直変位が求められるというわけです。

そのデータはデータロガーを通じてパソコンに送ったり、現場に設置したLED警報信号で変位の量に応じてアラートを出したりすることができます。

データロガーとLED警報信号

データロガーとLED警報信号

また、この変位計は“埋め殺し”ではなく、何度も繰り返し使えるように工夫されています。

現場でインバートコンクリートを打設した後、保護管をまず埋設します。その後、保護管の中に水圧計付きのビニール管を挿入するというわけです。

現場での計測が終わればビニール管だけ引っこ抜けば、別の場所や現場で使い回すことできます。

ビニール管に水圧計を取り付けたインバート変位計本体(左)と保護管(右)

ビニール管に水圧計を取り付けたインバート変位計本体(左)と保護管(右)

インバートコンクリートを打設した後、まずは保護管を埋設する

インバートコンクリートを打設した後、まずは保護管を埋設する

その後、ビニール管を保護管の中に挿入すると設置完了

その後、ビニール管を保護管の中に挿入すると設置完了

気になる精度ですが、ビニール管や水圧計は柔軟な構造で、地山のわずかな変形にも追従するので、

 

0.1mmの高精度

 

で計測できるそうです。また、長期間にわたっての経時的な計測も可能です。

高さを水圧で計測することで、変位を楽に測るアイデアは、いろいろと応用が利きそうですね。

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