管理人のイエイリです。
リフォーム工事は事前の現地調査がとても重要です。もし、図面がないと建物各部の寸法を測って図面を作るのに、大変なコストと時間がかかります。
この現地調査を効率化しようと、岐阜市の建築設計事務所、アーキ・キューブは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
3Dレーザースキャナー
を自社開発してしまったのです。
正式名称は「現況建物測定システム」と言い、2013年度補正予算の「ものづくり補助金」を受け、開発には、岐阜県情報技術研究所の協力を得ました。
この3Dスキャナーは、水平・垂直2方向に回転する高精度パンチルト・ユニット雲台に、計測距離30mのレーザーセンサーを取り付けたものです。
また、この3Dレーザースキャナーを制御し、点群データを作成するソフトも開発しました。これらの開発には、約350万円のコストがかかったそうです。
いったい、どれくらいの実力があるのか、アーキ・キューブの事務所で試験的に計測してもらいました。
打ち合わせスペースの真ん中に3Dレーザースキャナーを据え付け、水平方向のスキャンピットを0.25°にセットして計測をスタートしました。
3Dレーザースキャナーは最初、首や肩を回す“ストレッチ体操”をするかのように、位置合わせのためのウオーミングアップを行います。
そしていよいよ計測がスタート。約5分で計測が終了しました。いったい、どんなデータが取れたのでしょうか。
点群データの行数は、ナント、75万7782行もありました。データ容量は約40MBです。
このデータをオートデスクの点群処理ソフト「ReCap」やBIMソフト「Revit」に読み込んでみました。
すると、1回の計測にもかかわらず、建物の内部が詳細に記録されていることがわかってきました。
さらに点群を建物の断面方向から見て断面図的に表示すると、
建物の断面形状がくっきり
と表れてきました。
梁の部分を拡大して幅を測ってみると、約180mmということがわかりました。レーザーセンサーの精度は10mで±3mmということですが、実際の誤差はその半分程度とのことです。
アーキ・キューブは、事務所内を数カ所から計測して、各点群を合成。そのデータを元にBIMモデルを作りました。
図面のない住宅の場合、これまでは現地での計測と図面化に約30人工(にんく)かかっていました。
それが、この3Dレーザースキャナーを使うと工数が2分の1~3分の1になり、測りもれもなくなるそうです。
アーキ・キューブの所員はわずか6人です。そんな小さな設計事務所が、3Dレーザースキャナーを自前で開発してしまったとは、「下町ロケット」もビックリですね。