曲げセンサーという新兵器!フジタがシールド機前方の土を見える化
2016年1月26日

管理人のイエイリです。

筒状のシールド機トンネルを掘削する「シールド工法」では、シールド機の前にある隔壁があり、その前でぐるぐる旋回するカッターフェースによって掘削最前線の地盤(切り羽)の土砂をかき回しながら掘って行きます。

切り羽の土砂が固すぎると、掘削土を排出するスクリューコンベヤーが詰まったり、逆に柔らかすぎると勢いよく吹き出して切り羽が不安定になったりします。

そこでシールド技術者は、切り羽に「添加材」を注入して土砂の流動性を調整するのですが、隔壁の前にある土砂だけに、直接見て確かめることができないのが、悩みのタネでした。

そこで大和ハウスグループのフジタは、切り羽の土砂の流動性をリアルタイムに見える化する「チャンバー内見える化技術」を開発しました。

土砂の流動性を判断するのに使ったのは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

曲げセンサー

 

という新兵器だったのです。

シールド機の隔壁前(チャンバー)に取り付けられた曲げセンサー(以下の写真、資料:フジタ)

シールド機の隔壁前(チャンバー)に取り付けられた曲げセンサー(以下の写真、資料:フジタ)

可視化された土砂の流動性。土砂が固いと緑色、柔らかいと赤色で表示される

可視化された土砂の流動性。土砂が固いと緑色、柔らかいと赤色で表示される

この曲げセンサーは、カッターフェースの旋回によって動く土砂の圧力によって曲がりますが、その曲げ変位と曲げ速度は土砂の流動性に応じて変わります。

そこでフジタの技術陣は、土砂の流動性判定に用いられる「ベーンせん断試験」による結果と、曲げセンサーの曲げ変位、曲げ速度の相関を求めることにより、直接見ることができない隔壁前の土砂の流動性を見える化ることに成功しました。

曲げ変位と曲げ速度から、スクリューコンベヤー部分(右図の黒い円)の土質がオレンジ色でちょうどいいことを示している

曲げ変位と曲げ速度から、スクリューコンベヤー部分(右図の黒い円)の土質がオレンジ色でちょうどいいことを示している

スクリューコンベヤー部の流動性が少ない場合は緑色で示される。添加材を追加投入する必要がある

スクリューコンベヤー部の流動性が少ない場合は緑色で示される。添加材を追加投入する必要がある

曲げセンサーは変位と速度を計測する2種類のセンサーを硬質ゴムの中に埋め込んだものです。

この「チャンバー内見える化技術」は、2015年7月に完成した愛知県企業庁発注の「岡崎線耐震化送水管布設(その1)工事」に導入されました。

土砂の流動性をリアルタイムに確認しながら、添加材の注入量を即時に変更できるようになった結果、スクリューコンベヤーでの

 

土砂の噴発や閉塞なし

 

で、安全な施工ができたとのことです。

土という自然の材料を相手に仕事をすることが多い土木工事では、「土の見える化」が生産性や工事品質を向上させるための大きなテーマと言えそうですね。それはITの力によって、少しずつ前進しているのを感じました。

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