管理人のイエイリです。
建物の現況診断は、人間の健康状態と同じように外観だけではわかりにくい部分が多々あります。
例えば空調・衛生設備の機能や老朽度、災害時の事業継続性は、建物を表面から見ているだけではわかりません。さらに省エネ性や空気環境、地球温暖化への影響となると、何かの方法で“見える化”されないと、感じることすらできません。
大林組は、建物の現状を人間ドックのように、様々な切り口で見える化する建物健康診断システム「たてもの診(み)たろう」と、簡易版の「たてもの診たろうmini」を運用してきましたが、今回、全面的に見直しを図り、パワーアップしました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
現地調査にiPadを導入
し、診断業務を大幅にスピードアップしたのです。
「たてもの診たろう」は、建物の現状を機能性、老朽度、BCP(事業継続計画)、省エネ・省資源、快適・健康、外部への影響という6つの分野(約120の診断項目)で分析し、客観的かつ総合的に建物診断を行います。
既存建物の性能上の強みや弱み、性能レベルを容易に把握することができ、リニューアル後の建物性能もシミュレーションすることができます。
今回、大林組はこのシステムをWeb化し、現地調査にiPadを導入することで、これまで1カ月程度かかっていた診断業務が約2週間で行えるようになりました。
一方、簡易版の「たてもの診たろうmini」は、専門技術者の調査が必要かどうかを見極めるための事前簡易診断システムで、大林組の営業担当者が建物オーナーなどにヒアリングを行い、6分野、約50の診断項目で診断します。
その結果、これまで数日かかっていた診断を、ヒアリングの当日に行うことが可能になりました。
どちらのサービスもオフィスビルや病院、工場を診断対象としています。
大林組がこれらのシステムをスピードアップした狙いは、建物の改修計画や維持管理計画の立案など、建物の
ライフサイクルマネジメント
を効果的に推進するためです。
お客さんが建物のことが気になっているそのときに、スピーディーに診断結果を示すことができれば、次のステップへ進む動機になりますからね。
まさに、“鉄は熱いうちに打て”を維持管理の分野で実践するシステムと言えるでしょう。