管理人のイエイリです。
シンガポール政府では、建築確認申請時にBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の使用を義務づけるなど、建設業での生産性向上に力を入れています。
現場での生産性をさらに高めるためのカギは、建築の製造業化にあるようです。
例えば、南洋理工大学(Nanyang Technological University:NTU)で建設中の6棟からなる13階建て学生寮(1582室)は
ナ、ナ、ナ、ナント、
中国で内装仕上げ
まで行った部屋ユニットをトレーラーで現場に搬入し、現場では積み木のように組み立てる方法で施工しているのです。
この工法はPPVC(Pre-fabricated Pre- finished Volumetric Modular Construction)と呼ばれるものです。
施工を担当するBBRグループは、従来の施工法に比べて労働生産性を40%まで高めことができ、工期を15%短縮することができると見込んでいます。
この工法は、シンガポールの表玄関であるチャンギ空港の第3ターミナルビルに隣接するクラウンプラザホテル(Crowne Plaza Hotel)の拡張工事でも使われています。
10階建てで床面積1万m2、243室を増築するもので、ホテルにPPVC工法を導入するのはシンガポールで初めてです。
施工はドラガゲス社(Dragages)が行い、部屋の製作と現地施工の工期は17カ月です。
部屋の製作は、中国の上海で行われ、シンガポールに輸送されました。
同社によると従来の工法に比べて最大、
工期を半減、人工を75%削減
できるほか、工事によるCO2の削減や現場の安全性向上にも役立つとしています。
このほか、シンガポールのセンバワンでは、シティー・ディベロップメント・リミテッド(CDL)が、10~12階建ての8棟からなる高級コンドミニアム(636室)の建設にPPVC工法を使っています。
現場の人に聞いたところ、部屋の部材はお隣のマレーシアで製作しているとのことでした。ただ、部屋にはまだ内外装は施されておらず、仕上げは現場で行うようです。
このプロジェクトでも40%以上の生産性向上と、5万5000人工(にんく)の削減を見込んでおり、予定工期より4カ月早く完成する予定です。
現場では建物をまたぐように2基の40t吊り門型クレーンが据え付けられ、部屋のユニットを一つ一つ、積み上げていました。
こうした画期的な工法を見ていると、建設業の生産性向上はまだまだ余地がありそうですね。