工場で仕上げて積むだけ!究極のプレハブ工法がシンガポールで増殖中
2016年2月29日

管理人のイエイリです。

シンガポール政府では、建築確認申請時にBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の使用を義務づけるなど、建設業での生産性向上に力を入れています。

現場での生産性をさらに高めるためのカギは、建築の製造業化にあるようです。

例えば、南洋理工大学(Nanyang Technological University:NTU)で建設中の6棟からなる13階建て学生寮(1582室)は

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

中国で内装仕上げ

 

まで行った部屋ユニットをトレーラーで現場に搬入し、現場では積み木のように組み立てる方法で施工しているのです。

南洋理工大学で建設中の学生寮(以下の写真:家入龍太)

南洋理工大学で建設中の学生寮(以下の写真:家入龍太)

同じような部屋が積み重ねられています

同じような部屋が積み重ねられています

積み重ねられた部屋ユニット

積み重ねられた部屋ユニット

この工法はPPVC(Pre-fabricated Pre- finished Volumetric Modular Construction)と呼ばれるものです。

施工を担当するBBRグループは、従来の施工法に比べて労働生産性を40%まで高めことができ、工期を15%短縮することができると見込んでいます。

この工法は、シンガポールの表玄関であるチャンギ空港の第3ターミナルビルに隣接するクラウンプラザホテル(Crowne Plaza Hotel)の拡張工事でも使われています。

10階建てで床面積1万m2、243室を増築するもので、ホテルにPPVC工法を導入するのはシンガポールで初めてです。

チャンギ空港第3ターミナルビルに隣接するクラウンプラザホテルの拡張工事現場

チャンギ空港第3ターミナルビルに隣接するクラウンプラザホテルの拡張工事現場

積み上げられた部屋

積み上げられた部屋

奥行き方向はこんな感じです

奥行き方向はこんな感じです

施工はドラガゲス社(Dragages)が行い、部屋の製作と現地施工の工期は17カ月です。

部屋の製作は、中国の上海で行われ、シンガポールに輸送されました。

同社によると従来の工法に比べて最大、

 

工期を半減、人工を75%削減

 

できるほか、工事によるCO2の削減や現場の安全性向上にも役立つとしています。

このほか、シンガポールのセンバワンでは、シティー・ディベロップメント・リミテッド(CDL)が、10~12階建ての8棟からなる高級コンドミニアム(636室)の建設にPPVC工法を使っています。

現場の人に聞いたところ、部屋の部材はお隣のマレーシアで製作しているとのことでした。ただ、部屋にはまだ内外装は施されておらず、仕上げは現場で行うようです。

センバワンにある高級コンドミニアム建設現場

センバワンにある高級コンドミニアム建設現場

棟をまたぐように40t吊り門形クレーンが設置されていた

棟をまたぐように40t吊り門形クレーンが設置されていた

 

付近のモデルルームにあった完成予想図
付近のモデルルームにあった完成予想図

このプロジェクトでも40%以上の生産性向上と、5万5000人工(にんく)の削減を見込んでおり、予定工期より4カ月早く完成する予定です。

現場では建物をまたぐように2基の40t吊り門型クレーンが据え付けられ、部屋のユニットを一つ一つ、積み上げていました。

こうした画期的な工法を見ていると、建設業の生産性向上はまだまだ余地がありそうですね。

 

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