大噴水で番組を放送!三菱電機が海水アンテナを開発
2016年2月1日

管理人のイエイリです。

テレビやラジオ、無線通信などで電波を送信するときに必要なのがアンテナです。

普通は電波が共振するように、4分の1波長の金属製エレメントを垂直に立てたり、水平に並べたりして、それに同軸ケーブルをつないで電波を発射します。

標準的なアンテナの例(資料:家入龍太)

標準的なアンテナの例(資料:家入龍太)

ところが三菱電機の技術者は、とんでもないアンテナ「シーエアリアル」をこのほど開発しました。

金属製エレメントの代わりに、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

海水の噴水

 

を使おうというアイデアなのです。

海水のアンテナをエレメントとして使う「シーエアリアル」(以下の資料:三菱電機)

海水のアンテナをエレメントとして使う「シーエアリアル」(以下の資料:三菱電機)

シーエアリアルの装置

シーエアリアルの装置

海水は金属ほどではありませんが、電気を通す「導電性」があります。

そこで、海水をポンプで空中に噴出し、できた水柱をアンテナのエレメントとして利用したのです。

シーエアリアルの装置はポンプと給電構造だけで構成され、かさばるエレメントは海水で代用するのでとてもコンパクトです。そのため、船などを使って、アンテナを設置したい場所に簡単に移動させることができます。

この仕組みの上で問題になることがあります。それは海水は大海原とつながっているので、普通のポンプで噴水を作っただけだと、エレメントが大海原に「アース」されてしまい、エレメントとして機能しません。

そこで、この発明のポイントとなったのは、大海原と噴水を電気的に切り離し、アンテナのエレメント部分だけに高周波電流を効率よく流すための

 

絶縁ノズル

 

を開発することでした。

元アマチュア無線家の筆者にとっては、どんな構造になっているのか、とても気になりますね。

ただ、海水は導電性が金属よりも低いため、アンテナの効率としては70%くらいとのことです。

同社はこのアンテナを使って世界で初めて、地上デジタルテレビ放送の受信実験を行い、画像を映し出すことに成功しました。

今後は災害やイベントなどの臨時放送局などのアンテナとしても期待できそうですね。

ちなみに、電波の波長(m)は300÷周波数(MHz)で計算できます。地デジの周波数は470MHz~760MHzくらいですから、4分の1波長だと10~16cmくらいになります。

一方、AMラジオ(中波)の周波数は530~1600kHzくらいですから、4分の1波長だと47~141mくらいになります。ラスベガスなどの大噴水に匹敵するくらいのアンテナができそうですね。

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