管理人のイエイリです。
高度1000m程度の気温を測りたいとき、日本気象協会では「GPSゾンデ」という機器を使っています。
GPSゾンデとは、気温センサーとGPSセンサーを搭載した計測器を、ヘリウムを充てんしたバルーンにつり下げて飛ばし、上空の気温や風を計測する方法です。
先日、テレビ番組で南大東島の観光スポットとして、ゾンデの基地が注目を浴びていることを放送していましたね。
しかし、ゾンデを使う観測方法には、バルーンの落下やヘリウムの供給、観測コストの高さといった様々な課題があります。
そこで日本気象協会が注目したのは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
ドローンによる観測
なのです。
同協会は2014年度から京都大学防災研究所と共同でドローンによる高層気象観測の研究や実験を行ってきました。
2014年9月30日には京大防災研の宇治川オープンラボラトリーでデモンストレーション飛行を行い、ドローンにGPSゾンデ発信器を取り付け、上空の気温を観測しました。
また、2015年6月29日と30日には、京大防災研の境界層風洞でドローンの耐風性能などを調査し、同11月29日と30日には同じ風洞で、ドローンの姿勢データの風向や風速依存性を実験しました。
こうした徹底した実験の結果、使用したドローンでは最大風速が約15m/秒まで観測可能で、弱風晴天時には最高で上空1000mまでの気象観測データが得られることがわかりました。
ドローンからリアルタイムデータを送信する場合、ローターの回転によって受信障害が発生する可能性もありましたが、ブレードの材質を変えることが有効であると認められました。
そしてホバリング時のドローンの姿勢データから、
風向や風速を推定
できる可能性があることもわかったのです。
2016年2月18日、19日には宇治川オープンラボラトリーで実証実験を行い、ドローンと気象観測鉄塔による高さ24m、40m、55mでの観測地を比較しました。
また、超音波風向風速計を搭載したドローンを飛ばして姿勢安定性などの基礎データを取得。レーザー測高器を使って観測高度の精度も検証しました。
実証実験に使ったドローンはルーチェサーチ製の「SPIDER CS-6」型機で、機体重量は約3.8kg、耐風速約15m/s、飛行時間約25分、搭載重量は約4000gのものでした。
今後はドローンによる火山灰や火山ガス、大気汚染物質の観測やサンプリングなども行える可能性が見えてきたとのことです。
上空の気温や物質の採取は、実際にそこまでアクセスしないと行えません。気象観測でも、ドローンは有力な手段になりそうですね。