VRとBIMで施工ミスを再現!大林組が現場教育システムを開発
2016年11月28日

管理人のイエイリです。

現場での施工管理では、鉄筋配置などの不具合を発見する知識とスキルが求められます。

大林組では数年前から、社内に鉄筋や型枠を組んだ教育用の躯体モックアップを作り、鉄筋配置の不具合個所を探す体験型研修を行ってきました。

しかし、同じ受講者が繰り返し受講するためには、定期的にモックアップを作り替えたり、受講者がその場所に集まったりと、コストと手間がかかっていました。

そこで大林組は、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

BIMモデルとVR

 

を使って同様の研修が行えるシステムを開発したのです。

VRで再現した鉄筋のモックアップ(以下の資料:大林組)

VRで再現した鉄筋のモックアップ(以下の資料:大林組)

このシステムは「VRiel(ヴリエル)」というもので、ヘッドマウントディスプレー(HMD)やコントローラー、センサーなど、市販の機器で構成されます。

実物のモックアップの代わりに、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフトで作ったデジタルモックアップを使い、不具合個所を再現します。

受講者はHMDを装着し、VR画面上に表れる鉄筋配置の不具合などを探すことで、実物同様の研修ができるというわけです。

パソコンやHMD、コントローラーなどからなる「VRiel」のシステム

パソコンやHMD、コントローラーなどからなる「VRiel」のシステム

受講者は工事現場を巡回して不具合個所をチェックするのと同じように、VR上を移動したり、首を上下左右に動かして見回したりすることで、工事現場と同じように検査する感覚が身に付きます。

また、実際の施工管理では、構造図や細かい仕様が書かれた標準配筋図と、現場とを見比べたり、寸法を確認したりしながら、不具合個所を発見するスキルが必要です。

そのため、施工管理用の図面や計測用のコンベックスなどもすべてVR上で使えるようなっています。

施工管理用の図面もVR画面上に表示できる

施工管理用の図面もVR画面上に表示できる

教材にはBIMモデルを使っているため、画面上で正解モデルと不正解モデルを瞬時に切り替えて比較できるので、どこが間違っているのかを視覚的に理解できます。

実物のモックアップと違い、BIMモデルを変更したり、追加したりするだけで、不正解のパターンを増やせるので、難易度を少しずつ高めながら、数多くの事例を効率的に学ぶことができます。

「VRiel」は、

 

2m四方ほどのスペース

 

があれば設置できるので、会議室や現場事務所など様々な場所で研修を受けることができるのも便利ですね。

鉄筋工事のほか、仕上や設備などの品質管理、安全管理など、幅広い教育に使えます。さらに、大林組は、タブレット端末でも学習できるように開発を進めているそうです。

BIMとVRによって、現場で行っていた教育が、いつでもどこでもできるようになると、短期間で目利きが養成できそうですね。技術の伝承にも、大きな効果がありそうです。

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