管理人のイエイリです。
建設業では、工事中の現場状況を記録した工事写真がとても重要です。
例えば、鉄筋コンクリート構造物の鉄筋径や配置は、コンクリートを打設してしまうと外から見えなくなってしまうため、工事代金を請求するときの「施工の証拠写真」としての意味もあるからです。
ここ数年間、あまり変化がなかった感のある工事写真界ですが、最近、急速に進化し始めました。
例えば、公共工事で使われる写真に、国土交通省が今年2月1日から
ナ、ナ、ナ、ナント、
電子小黒板の使用をOK
したのです。
工事写真を撮るとき、これまでは小さな黒板に撮影日や場所、工種などを記入して現場に設置し、現場と一緒に写真に写し込む必要がありました。
電子小黒板とは、電子小黒板専用機やタブレット端末などのカメラ側に、黒板型の小さな枠を表示し、ここに従来の黒板と同じような情報を書いて電子的に写真に写し込むシステムのことです。
これまでは小黒板は、持つ人が必要だったり、写真が変わるごとに文字を書き換えたり、雨にぬれると書きにくかったりというアナログならではの非効率がありました。
その点、電子小黒板は黒板を持つ人はいらず、あらかじめデータを記入した黒板を何枚も用意しておくことができ、雨でも全然問題ない、といいことだらけです。
さらに効率的なのは、電子小黒板に記入した文字などの情報は、
デジタル写真の属性情報
として撮影後にパソコンの写真帳ソフトで写真台帳を作ったり、電子納品用のデータを作成したりといった業務にも活用できます。
そのため、電子小黒板を使うと黒板の記入から工事写真の撮影、整理までの時間が、従来の木製黒板に比べて約4分の1に短縮されたというデータもあります。
こうした便利さのため、電子小黒板はここ3年間ほどで急速に売り上げが伸びています。
ミック経済研究所の調べによると、トップシェアは「蔵衛門Pad」を発売しているルクレ(東京都渋谷区)で、2015年度に2000本だったのが16年度は5900本、そして2017年度は1万8000本と、毎年3倍増の伸びが予想されています。
国交省では2016年度からi-Construction政策を開始しました。CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)や情報化施工に、電子小黒板もうまく組み合わせると、現場の生産性向上はますます高まりそうですね。