管理人のイエイリです。
ちょっと大きな建物では、空調用の冷水管や温水管、洗面所や給湯室で使う給排水管などが入り乱れ、ぱっと見ただけでは何の管なのかがわからない場合もよくあります。
ファンコイルユニットの交換作業など、設備の維持管理や運用段階では、適切なバルブを閉めないと、水もれ事故につながったり、必要以上に断水エリアが広がったりしますね。
そこで竹中工務店は、建物管理を手がける同グループのアサヒファシリティズ(本社:東京都江東区)と連携し、建物設備の管理・運用に必要な情報を見える化する手法を開発しました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
竣工BIMモデルに配管系統
やバルブの影響範囲、電源回路を見える化するための属性情報を埋め込んだのです。
上の図は配管系統を見える化した例ですが、上段の普通のBIMモデルに比べると、下段のように配管系統を色分けすることで、何の管なのかが一目瞭然ですね。
例えば、ミニキッチンの水栓を交換したいけど、元バルブがなかなか見つからないといった場合も、このシステムを使うとすぐにわかります。そして、元バルブを閉めたときにどの機器が影響を受けるのかもすぐにわかります。
ミニキッチンの工事のため、離れたところにあるトイレや洗面所が多数、使えなくなったという予想外の“被害”も、あらかじめ予想できるので、工事の際に看板を立てておくなどの対策も怠りなくできそうですね。
このシステムは、電源回路も同様に見える化できます。それもブレーカーにつながっている「電源回路区分」と、各照明スイッチでオン/オフできる「点灯区分」という2種類の属性を持たせています。
電気は目に見えないので、水よりも危険です。このシステムを使うと、照明器具の交換時などに
どのブレーカーやスイッチ
を切ればいいのかが事前にわかるので、ヒューマンエラーによる感電事故を防止することができます。
ここまでBIMによる建物の運用・維持管理が進んでくると、実物とBIMモデルを竣工後も常に一致させる“情物一致”の仕組みがますます重要になってきそうですね。