管理人のイエイリです。
トンネル工事で掘った土砂を、ひたすら坑外に運び出すベルトコンベヤー(ベルコン)は、現場の中でも地味な存在で、あまり脚光を浴びることはありませんでした。
この伝統的なマシンに目を付け、このほど画期的な改良を実現したのが、大成建設と演算工房(本社:京都市)、タグチ工業(本社:岡山市)の3社です。
3社はこのベルコンに、
ナ、ナ、ナ、ナント、
“3Dスキャナー”機能
を搭載し、トンネル工事の掘削土量を、リアルタイムに高精度で計測できるシステムを開発したのです。
この“3Dスキャナー”の正体は、ラインレーザー光の照射器とデジタルカメラです。
土砂が運ばれてくるベルコンに、ラインレーザー光を当てて斜め上から見ると、レーザー光は断面の輪郭線のように浮き上がって見えます。
これをデジタルカメラで撮影し、そのデータを画像解析して輪郭線の座標データとして取り出します。一方、空の状態のベルコン断面も同様に計測すると、土砂の下の輪郭線が取り出せます。
この2本の輪郭線ではさまれた部分を計算すると、土量をリアルタイムに計測でき、精度は2%以内とのことです。この方法は「光切断法」と呼ばれるものです。
このシステムには、もう一つの重要な機能を持っています。
それは、
ベルトが切れる前に
警告を出してくれることです。
ベルトの傷の位置や大きさ、深さも光切断法で計測できるので、異常を検知した場合は、現場の施工管理者に警告を出し、破断などが起こる前に対策がとれるというわけです。
この技術は2013年から開発が始まり、これまで2件のトンネル工事で使われました。大成建設など3社は、2017年度以降に6件のトンネル工事に導入する予定で、さらなる普及・展開を進めていく方針です。
手軽なラインレーザーとデジカメで、3Dレーザースキャナーのような計測を実現したのは、ナイスアイデアですね。