ベルコンに“3Dスキャナー”機能!大成建設のナイスアイデア
2017年3月22日

管理人のイエイリです。

トンネル工事で掘った土砂を、ひたすら坑外に運び出すベルトコンベヤー(ベルコン)は、現場の中でも地味な存在で、あまり脚光を浴びることはありませんでした。

この伝統的なマシンに目を付け、このほど画期的な改良を実現したのが、大成建設演算工房(本社:京都市)、タグチ工業(本社:岡山市)の3社です。

3社はこのベルコンに、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

“3Dスキャナー”機能

 

を搭載し、トンネル工事の掘削土量を、リアルタイムに高精度で計測できるシステムを開発したのです。

ベルコンに搭載された“3Dスキャナー”(以下の写真、資料:大成建設、演算工房、タグチ工業)

ベルコンに搭載された“3Dスキャナー”(以下の写真、資料:大成建設、演算工房、タグチ工業)

ベルコンによる土量計測のイメージ

ベルコンによる土量計測のイメージ

この“3Dスキャナー”の正体は、ラインレーザー光の照射器とデジタルカメラです。

土砂が運ばれてくるベルコンに、ラインレーザー光を当てて斜め上から見ると、レーザー光は断面の輪郭線のように浮き上がって見えます。

これをデジタルカメラで撮影し、そのデータを画像解析して輪郭線の座標データとして取り出します。一方、空の状態のベルコン断面も同様に計測すると、土砂の下の輪郭線が取り出せます。

この2本の輪郭線ではさまれた部分を計算すると、土量をリアルタイムに計測でき、精度は2%以内とのことです。この方法は「光切断法」と呼ばれるものです。

土砂の上に照射されたレーザー光は、土砂の輪郭線としてデジカメで撮影し、座標データ化される

土砂の上に照射されたレーザー光は、土砂の輪郭線としてデジカメで撮影し、座標データ化される

上の断面、下の断面ではさまれた部分を土量として計算する。

上の断面、下の断面ではさまれた部分を土量として計算する。

このシステムには、もう一つの重要な機能を持っています。

それは、

 

ベルトが切れる前に

 

警告を出してくれることです。

端部が裂けたベルコンの傷

端部が裂けたベルコンの傷

傷の位置、大きさ、深さを監視し、異常が見つかったら施工管理者に警告を出す

傷の位置、大きさ、深さを監視し、異常が見つかったら施工管理者に警告を出す

ベルトの傷の位置や大きさ、深さも光切断法で計測できるので、異常を検知した場合は、現場の施工管理者に警告を出し、破断などが起こる前に対策がとれるというわけです。

この技術は2013年から開発が始まり、これまで2件のトンネル工事で使われました。大成建設など3社は、2017年度以降に6件のトンネル工事に導入する予定で、さらなる普及・展開を進めていく方針です。

手軽なラインレーザーとデジカメで、3Dレーザースキャナーのような計測を実現したのは、ナイスアイデアですね。

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