管理人のイエイリです。
コンクリート工事で重要なのは、表面の状態を観察・評価して施工方法の改善に生かしていくことです。
例えば、国土交通省東北地方整備局の工事では、トンネルや橋梁のコンクリートを人が見て、表面の気泡の数や大きさによって「1~4」の評価点をつけています。
ただ、この方法だと「経験と勘」を習得するのに時間がかかるほか、個人差があったり、同じ人でも作業の途中で評価がぶれたりといった問題がありました。
そこで日本国土開発(本社:東京都港区)と科学情報システムズ(本社:横浜市神奈川区)は、この評価づけ作業をシステム化し、
ナ、ナ、ナ、ナント、
タブレットで写真を撮るだけ
で、コンクリート表層の状態を評価し、自動的に点数をつけてくれるようにしたのです。
このシステムは「コンクリート表層評価システム」というものです。評価点を自動的に出すために使ったのが、AI(人工知能)に「ディープラーニング」という方法で評価基準を教え込む方法です。
数メートル離れたところから撮影したコンクリートの写真と、人間がつけた点数の組み合わせを「学習データ」として、システムに数千回の“学習”をさせます。
するとシステムの中で評価するための判断基準の“神経回路網”がだんだんとできてきて、人間と同じような判断基準で評価点がつけられるようになるのです。
これらのシステムはクラウド化されているので、様々な現場からタブレットによってアクセスし、写真データをアップして学習させたり、その成果を使って評価に使ったりすることができます。
以前は、画像解析によって気泡の大きさや数、位置などを把握する方法を試みていたそうですが、その厳密さがかえってあだとなってしまい、うまくいかなかったそうです。
ディープラーニングは、建設現場で求められる
経験と勘をシステム化
するのに、役立ちそうですね。
現在、両社はコンクリートの気泡による評価を行っている段階ですが、今後はコンクリートの多種多様な表層品質評価や、コンクリート以外の構造物の評価に活用することを検討しています。
さらにはCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)と連携して施工管理を高度化したり、既存コンクリート構造物の点検に活用したりすることも考えています。
国土交通省の「i-Construction政策」でも、コンクリート工事の生産性工事用は大きなテーマになっていますので、今回の技術はコンクリート構造物の施工や維持管理を変えていくのかもしれせん。