管理人のイエイリです。
建物を忠実に3Dで表現するBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)データは、解析やシミュレーションを行うとき、その詳細さがかえって“あだ”となってしまうこともあります。
例えば、車両や機械、人の歩行などによって生じる建物の「環境振動」を有限要素法で解析するときです。
解析用の3Dモデルで柱や床などの厚みまでが表現されていると、数多くの分割要素(メッシュ)ができてしまい、ちょっとした計算でもとてつもなく時間がかかってしまいます。
そこで大成建設は、BIMモデルからシンプルな解析用のモデルを自動作成できる画期的なツールを開発しました。
BIMモデルのデータを入力すると、
ナ、ナ、ナ、ナント、
床や柱の厚みをゼロ
にして、面と線部材だけでできたシンプルな3Dモデルを自動作成してくれるのです。
シンプルな解析用モデルの自動作成は、大成建設が2016年5月に発表した環境振動解析モデル自動作成ツール「T-BIM Vibration」を改良したことで実現しました。
BIMモデルをもとに、床や柱などの部材を3Dの「ソリッド要素」として解析用モデルを作る従来の機能に加えて、建物の骨組みや床などを自動抽出し、面部材と線部材からなるシンプルなモデルを作る機能を追加したのです。
解析モデルをシンプル化したことの効果は絶大です。これまでのソリッドモデルを使った解析に比べて、
計算時間が10分の1
に短縮されるのです。
せっかくBIMを使って、設計内容を解析し、その結果を設計にフィードバックしようと思っても、計算に長い時間がかかると、設計者もめげてしまいがちです。
ところが、数時間で解析結果が出るならば、設計者はその結果を設計にフィードバックして、最善の設計に練り上げようという意欲がわいてきそうですね。