管理人のイエイリです。
昨日(現地時間 4月3日)から、米国・ヒューストンで開催中の3D計測イベント「SPAR 3D EXPO & CONFERENCE 2017」(以下、SPAR2017)に参加しています。
初日の講演をいくつか聞いて、気がついたのは3D計測技術が、構造物や建物などをIoT(モノのインターネット)化するツールとして、システマチックに使われはじめたと言うことです。
例えば、デンバー国際空港と市街地を結ぶ鉄道を新設したプロジェクトです。このプロジェクトについては、2013年に取材したこともあり、その後のことが気になっていました。
鉄道の線路や架線、駅舎などの現状を丸ごとモービル・マッピングシステム(MMS)で計測し、現実空間を3D点群としてデータ化します。
そして、線路や橋梁、架線、駅舎など、管理部門が異なる部分の点群を
ナ、ナ、ナ、ナント、
個別に切り出して
維持管理に活用しているのです。
点群データを切り出すツールを使って、線路は点群の下の部分、架線は上の部分、といったように管理に必要な部分だけを抽出すると点群データの容量もぐっと少なくなって扱いやすくなります。
定期的に鉄道施設を丸ごと点群化し、その計測年月日に応じて保存しておくと、新たに施設の補修や改造が必要になった場合には、
再計測する必要はなく
保存されているデータを引っ張り出してくれば、すぐに検討作業が始められます。
例えば線路上面の高さや架線と周辺の構造物の離隔距離、橋桁の下部空間のクリアランス確認などです。
このプロジェクトでは鉄道施設全体の点群計測に1.5日、スキャンに要した費用は5万ドル(約600万円)だったそうです。
従来の測量方法だと、約3000時間もかかる見込みとのことなので、劇的な生産性向上につながっているそうです。
これまでは線路の維持管理は線路部門が、架線の維持管理は架線部門がというように、点群データのニーズが発生するたびに点群計測を行う例が多かったのではないでしょうか。
管理部門の壁を越えて、定期的に丸ごと点群計測をしておくこと管理手法は、参考になりそうです。