32ビットPCでもサクサク!奥村組とパスコが山岳トンネル用CIMを開発
2017年4月12日

管理人のイエイリです。

山岳トンネル工事にCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)を導入する場合、複雑な地山や地質の形状、分布などを3次元で忠実に表現しようとすると、CIMモデルの作成には大変な手間ひまがかかります。

そして出来上がったCIMモデルの容量も巨大なものとなり、そのデータを操作するためのパソコンも、64ビットOSを装備したかなりハイスペックなものが必要になりそうです。

ところが奥村組パスコがこのほど開発した山岳トンネル工事用のCIMソフトは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

32ビットのパソコンで

 

サクサクと軽快に動作するのです。

山岳トンネル工事用のCIMソフトで表示した準3次元モデルの例(以下の資料:奥村組)

山岳トンネル工事用のCIMソフトで表示した準3次元モデルの例(以下の資料:奥村組)

その秘密は「準3次元モデル」という考え方にあります。

3次元のCIMモデルを作成するに当たり、地表面の形状とトンネルの線形は3次元データとして入力しますが、地質断面図や地質縦断図は2次元図面としてトンネル中心線に沿って張り付ける方法をとります。

その結果、CIMモデルの作成にかかる時間が約10分の1に短縮されるのです。

このCIMモデルに、日々の掘削管理に使っている切り羽の写真や観察記録、地山評価点などの切り羽情報や、支保工パターンや切り羽前方探査情報、ボーリングデータ情報などを取り込むことで、山岳トンネルの施工管理情報を一元管理することができます。

切り羽情報とCIMモデルを連携させて表示した例

切り羽情報とCIMモデルを連携させて表示した例

切り羽写真や地山評価点がトンネル軸線に沿ってどのように変化しているのかが3次元的に把握しやすい

切り羽写真や地山評価点がトンネル軸線に沿ってどのように変化しているのかが3次元的に把握しやすい

さらに切り羽前方探査時の削孔エネルギーグラフやボーリングデータを、土被りなどを総合的に参照することで施工管理情報を一元管理できる

さらに切り羽前方探査時の削孔エネルギーグラフやボーリングデータを、土被りなどを総合的に参照することで施工管理情報を一元管理できる

このソフトは大量データの高速処理とレスポンスに強みを持つパスコの3次元基本ソフト「PADMS」をベースとして、山岳トンネル用のCIMソフトとしてカスタマイズしたものです。

一般のCIMソフトに比べてデータ作成が簡単で操作も快適なので、現場で一般的に使われている32ビットパソコンでも、3次元地盤モデル上で様々な情報を同時に閲覧でき、画面の切り替えや拡大・縮小、視点移動などもスムーズに行えます。

そのため、現場へのCIM導入や運用の負荷を大幅に減らせるのもメリットです。

さらに、旧・CIM技術検討会(現・CIM導入推進委員会)がとりまとめた、

 

CIMトンネルモデル

 

作成ガイドラインにも準拠しているので、安心して使えそうですね。

奥村組はこのソフトを中日本高速道路(NEXCO中日本)発注の中部横断自動車道森山トンネル工事ほか1件の工事に導入し、有効性を確認しました。

CIMモデルというと、何から何まで3次元化しないといけないように考えてしまいがちですが、3次元と2次元をうまく使い分けたハイブリッドなシステムも十分、実用的であることがわかりますね。奥村組とパスコのアイデアに感心しました。

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