管理人のイエイリです。
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフト「ARCHICAD」の開発・販売元であるハンガリーのグラフィソフト社は、毎年、世界中からリーダー的ユーザーを募り、「キー・クライアント・コンファレンス(GRAPHISOFT
KEY CLIENT CONFERENCE。以下、KCC)」という大々的な会議を開催ししています。
2017年は、5月29日から3日間の日程で、京都で開催され、300人近いユーザーやベンダー関係者などが参加しています。
2日目は、現在開発中の最新版、「ARCHICAD21」の最新機能についての講演に続き、日本、中国、韓国の4人のユーザーがBIM活用の最新事例を発表しました。
日本ユーザーとしてまず講演した、竹中工務店の西日本BIM推進ワーキンググループリーダーの池田英美氏は、同社のBIM活用のポイントとして、意匠、構造、設備のBIMモデルは決して一体化することなく、
「重ね合わせるだけ」
が重要だと語りました。
というのも、BIMモデルは基本設計から詳細設計、そして施工用BIMモデルと常に進化するものなので、他部門が担当するBIMモデル同士をくっつけてまとめてしまうと、進化が止まってしまうからです。
こうしたBIM運用を可能にするためには、スタッフの業務分担が重要です。
同社では、設計段階と施工段階で迅速な判断を行うBIMマネージャーを別々に2人配置しているほか、BIMモデルの重ね合わせを専門に行う「BIMインフォメーション・セクレタリー(BIS)」や、BIM活用の先導的立場にあるチャレンジャブルな「BIMプロモーションチーム」、初心者に優しく、厳しくBIMを手ほどきする「BIMコンシェルジェ」、そしてトップダウンでBIMを推進する「BIMボス」を配置しているそうです。
続いて日本ユーザーとして講演したのは、鹿島建設が設立したBIM専門会社、Global BIMの副社長も務める矢島和美氏です。
矢島氏の講演では、これからBIMがどのように発展していくかを示したビジョンが注目を集めました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
BIMとAIの連携
によって、設計や施工計画、施工管理を大幅に自動化しようというのです。
例えば、BIMモデルをAIに解析させて施工計画を自動的に作ったり、従来の紙図面をOCRで電子化し、それをAIによってBIMモデル化したりするのが目標というのです。
既に鹿島は、BIMモデルから施工計画を作成する「smartCON」というシステムを開発しています。
今後は、現場に建設ロボットを導入して施工の自動化を行ったり、建設資材の物流をIoT(モノのインターネット化)化し、AIによってジャストインタイム化を実現したりと、あふれるアイデアはつきません。
プログラムの最後には、日本、中国、韓国の講演者によるパネルディスカッションも開催され、会場からの質問はオンラインで司会を務めるコバーチ・ベンツェさんの手元にあるiPadに集約されるというITを駆使した進行にも注目が集まりました。
AIやIoTと連携することで、BIMは今後、ますます発展していきそうなことを、KCC2017の会場で感じた次第です。