管理人のイエイリです。
工事現場の労働生産性という点で、山岳トンネル工事は優等生です。すでに、昭和30年代の工事に比べてトンネル掘削1m当たりの労働者数は10分の1くらいになっています。
そして、今度は発破の際、爆薬を装填する孔の掘り方の高精度化によって、さらなる効率化が実現されつつあります。
大成建設は、山岳トンネル工事の発破掘削で、作業性や安全性を高めるため、コンピューターで地山状況に応じた最適な削孔パターンを設定できる「削孔支援機能」を開発し、削孔用の建機であるドリルジャンボに搭載しました。
これまでの施工方法は、発破後の破砕状況や地山状況を目視で確認し、削孔パターンを計画していましたが、このマシンではさらに
ナ、ナ、ナ、ナント、
3Dレーザースキャナー
を使ってトンネル断面を計測し、削孔パターンを見直す「PDCA(計画→実施→評価→改善)」のようなサイクルを繰り返す方式を採用しているのです。
ドリルジャンボ自体にも改良を加えました。例えば、作業員が爆薬をセットする足場となるバスケット用のブームの可動範囲を、下方向と外方向に広げて、作業範囲を拡大し、切り羽からできるだけ離れて乗り降りができるようにしました。
また、ドリルジャンボにある3本のブームの操縦席に、1台ずつモニターを設置したので、実際の切り羽やブームを見ながら、モニター情報の視認性がよくなり、作業性が向上しました。
こうした努力の結果、従来のドリルジャンボを使った施工に比べて、掘削断面の
余掘りを約50%低減
することができたそうです。
余掘りというのは、設計で求められる断面より大きく掘った部分であり、いわば「工事のムダ」です。これが半減したことは、山岳トンネル工事の生産性がさらにアップしたことにほかなりませんね。
このシステムは新名神高速道路竜王山トンネル工事で試験的に導入され、効果が実証されました。“ハイテク化”でますます進化する山岳トンネル工事には、あらためて驚かされますね。