車載式だがMMSではない?西松建設がトンネル用3Dスキャンシステムを開発
2017年6月28日

管理人のイエイリです。

山岳トンネル工事では、トンネル内面の「じわじわ」とした変形量を正確に測り、異常がないかを常に監視しながら施工を進めることが重要です。

面的な変位の分布を高精度で測るためには、地上型の3Dレーザースキャナーが有効ですが、計測範囲が20mくらいのため、機器一式を計測のたびに移動し、設置するという手間ひまが必要でした。

そこで、西松建設とマック(本社:千葉県市川市)は、3Dレーザースキャナーなどの計測機器一式をクルマに載せて移動できる「車載式トンネル3Dスキャニングシステム」を開発しました。

3Dレーザースキャナーなどを搭載した「車載式トンネル3Dスキャニングシステム」の車両(以下の写真、資料:西松建設)

3Dレーザースキャナーなどを搭載した「車載式トンネル3Dスキャニングシステム」の車両(以下の写真、資料:西松建設)

車載式の3Dスキャナーというと、走行しながら点群データを取得するMMS(モービル・マッピングシステム)を想像してしまいますが、このシステムはちょっと違います。

計測地点に到着したら、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

クルマのエンジンを停止

 

し、車体が静止してから、計測を始めるのです。

計測中のイメージ。エンジンを停止し、車体が静止してから20m区間の点群計測を行う

計測中のイメージ。エンジンを停止し、車体が静止してから20m区間の点群計測を行う

クルマの屋根には、トンネル壁に設置したトータルステーションからの位置を測るためのプリズムも搭載されている

クルマの屋根には、トンネル壁に設置したトータルステーションからの位置を測るためのプリズムも搭載されている

エンジンを切ると、3Dスキャナーは自動的に水平に保たれます。

クルマの屋根には計測するためのプリズムが搭載されており、トンネル壁に設置したトータルステーションが自動追尾します。

そのため、計測地点に着くとクルマの位置がすぐにわかり、3Dスキャナーによるトンネル壁面の点群計測が行えるのです。

計測機器は、タブレットパソコンで遠隔操作します。計測したデータは、ノイズデータの除去やデータの平均化などの処理をその場で行い、変位もすぐに確認できます。

そのため、何か異常があったときには、迅速に対策を行えるのが特長です。

同社では、壁面の変位を模した厚さ10mmのプレートをトンネル壁面に設置し、2回にわたって計測した点軍同士を比較した結果、見事、検知に成功しました。

トンネル壁の変位に見立てた厚さ10mmのプレートを見事、検知した

トンネル壁の変位に見立てた厚さ10mmのプレートを見事、検知した

1カ所の計測が終わったら、クルマのエンジンをかけて次の地点に移動し、再びエンジンを止めて計測する、というわけです。

その結果、三脚を使って、計測のたびに機器一式を設置する方法に比べて、計測時間は

 

6分の1程度に短縮

 

することができたそうです。

計測時間の短縮効果。従来は1カ所につき40分程度かかっていたのが、新システムでは約6分になった

計測時間の短縮効果。従来は1カ所につき40分程度かかっていたのが、新システムでは約6分になった

工事中のトンネル内は、ひんぱんに車両などが行き交うため、1カ所の計測に40分もかかっていると日々の計測は行いにくいのが現状です。

それが6分で済むとなると、工事中でもこまめに計測できそうですね。

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