首都圏に195.1キロの地下鉄ネットワークを展開する東京メトロは、2015年5月からトンネルの検査にiPadと専用アプリを導入しています。
終電から始発までのわずかな時間に、ひび割れや漏水の発生位置、状態などを効率的に検査できるようにするため、iPadの画面をタップするだけでこれらの情報を簡単に入力できるようになっています。
そのデータは、データベースに直接、転送できるのでデータの入力や整理に要する時間も大幅に削減しています。
そして、このアプリはさらに機能を拡張しました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
ARによる教育訓練
が行えるようになったのです。
東京メトロの総合研修訓練センター(東京都江東区新木場)にある模擬橋梁や高架橋、模擬トンネルにiPadをかざして見ると、AR(拡張現実)の技術によって、実際の漏水や劣化などの変状が構造物に重なって見える仕組みです。
リアルな模擬構造物に重ねて様々な変状をできるので、テキストや写真を使った研修に比べて理解度が高まります。
また、実際の検査業務と同じ手法や手順なので、現場での作業を、昼間でも安全に教育することができるというメリットもあります。
ただ、構造物にARマーカーが張ってあると、研修生に対して変状のある場所がどこなのかがすぐにバレてしまいますね。
そこで、トンネル壁の変状を発見する教育には、画期的な機能が使えるようになっています。
ナ、ナ、ナ、ナント、
壁自体をARマーカー
として使えるのです。
何も張ってないトンネル壁面自体がARマーカー代わりになるので、目立つARマーカーは張ってありません。
そのため、研修生はトンネル壁の怪しそうな部分にiPadを向け、変状を探し出すことで、勘を養うこともできそうですね。
また、この技術を使うと、ARマーカーを張り付けるのが難しく、広範囲な空間のある場所でもARを活用し、維持管理などに使えそうです。