ダンパーが半減!NTTファシリティーズがAIで建物制震を低コスト化

2017年8月31日

管理人のイエイリです。

2011年の東日本大震災では、震源地から遠く離れた東京や大阪でも、長周期地震動によって超高層ビルが大きく揺れた例がありました。

その対策として、ビルの各階間にダンパーを取り付け、変位のエネルギーを吸収することによって揺れを抑える制震工事がありますが、建物の自然の揺れでダンパーを動かす「パッシブ制震方式」だと、高価なダンパーが多数、必要となります。

そこでNTTファシリティーズは、建物の揺れを抑制するようにダンパーの減衰力を

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

AIでアクティブ制御

 

することができる超高層建物向け制震技術の開発に成功したのです。

 

アクティブ制震システムのイメージ(以下の資料、写真:NTTファシリティーズ)

アクティブ制震システムのイメージ(以下の資料、写真:NTTファシリティーズ)

 

各ダンパーには減衰力をリアルタイムに調整するための電動アクチュエーターが付いています。その制御を、AI(人工知能)によって行い、できるだけ建物を揺らさないようにしようというわけです。

建物の揺れを最小化するために建物の地震応答シミュレーターを使い、AIに各ダンパーをどのように制御すればいいかを、深層強化学習という方法で教え込みます。

開発にはNTTデータとNTTデータ数理システムの協力を得て、NTTグループのAI技術「corevo(コレボ)」を活用しています。

建物をできるだけ揺らさないようにAIに学習させるイメージ

建物をできるだけ揺らさないようにAIに学習させるイメージ

NTTファシリティーズが保有する大型3次元振動台と、20階建ての建物を想定した大型の試験体を使って、長周期成分のある地震動や建物の1次固有周期と同じ周期の正弦波地震動を加振する実験を行ったところ、パッシブ制震に比べて

 

揺れを50%以上低減

 

できることがわかりました。

振動試験の状況

振動試験の状況

長周期地震動に対する試験体頂部の変位時刻歴(青色)。ダンパーなし(黒色)に比べて振幅は50%以上小さくなっている

長周期地震動に対する試験体頂部の変位時刻歴(青色)。ダンパーなし(黒色)に比べて振幅は50%以上小さくなっている

試験体の1次固有周期と同じ周期の正弦波で揺らした結果。ダンパーなし(左、黒色)に比べてパッシブ制震(右、赤色)は振幅が小さく、AIによるアクティブ制震(右、青色)はさらに振幅が小さいことがわかる

試験体の1次固有周期と同じ周期の正弦波で揺らした結果。ダンパーなし(左、黒色)に比べてパッシブ制震(右、赤色)は振幅が小さく、AIによるアクティブ制震(右、青色)はさらに振幅が小さいことがわかる

この結果から言えることは、パッシブ制震と同じ制震性能をアクティブ制震だと半分のダンパーで実現できるということです。

ダンパーが半減すると制震工事のスペースや工事量が減るので、制震工事費全体では最大30%の削減ができることになります。

NTTファシリティーズは2018年からこの技術を市場に導入することを目指し、実際の建物への導入に向けた開発を進めており、関西地方のビルに導入する計画です。

AIやITで、工事費を削減する方法は、これからの建設業界にとって新しい戦略になりそうですね。

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