未来のBIMをサッカーに例えると?東大・生産研の研究会が「つなぐBIM」を提言
2017年8月18日

管理人のイエイリです。

日本の建築産業では、様々な業務でBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)が使われるようになり、各ユーザーはそのメリットをどう生かすかを日々、追求しています。

東京大学生産技術研究所の野城研究室を幹事とする「BIMによる建築生産イノベーションに関する特別研究会」は、BIMプロジェクトの全体像を俯瞰(ふかん)的に考え、次世代の日本型建築の生産はどうあるべきなのかを追求した提言書「つなぐBIM」をまとめ、このほど公開しました。

「BIMによる建築生産イノベーションに関する特別研究会」が公開した「つなぐBIM」の表紙(以下の資料:「つなぐBIM」より)

「BIMによる建築生産イノベーションに関する特別研究会」が公開した「つなぐBIM」の表紙(以下の資料:「つなぐBIM」より)

提言書の一部。イラストや写真を多用し、読みやすい構成になっている

提言書の一部。イラストや写真を多用し、読みやすい構成になっている

研究会の参加企業には、オートデスクや大林組、建築保全センター、構造計画研究所、新菱冷熱工業、日建設計、日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)などが名を連ね、オブザーバーには建築研究所や日本設計など、産官学のそうそうたるBIMプレーヤーが集まっています。

このメンバーが2015~2016年にわたり13回もの会合を開き、様々な場面で行われるいくつものBIMプロジェクトをトータルに考え、よりよいBIMプロジェクトにつなげていくための課題を考察した結果が、「つなぐBIM」にまとめられています。

面白いのは、BIMプロジェクトが行われる現場や基準、関係者をひとまとめに俯瞰するイメージです。

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

BIMをサッカーの試合

 

に見立てて、考察しているのです。

BIMプロジェクト全体をサッカーの試合に見立てて俯瞰するイメージ

BIMプロジェクト全体をサッカーの試合に見立てて俯瞰するイメージ

基準や制度、求められるスキル、人材などもサッカーになぞらえて分析した

基準や制度、求められるスキル、人材などもサッカーになぞらえて分析した

そして、よりよいBIMプロジェクトを実現していくために、ROI(投資採算性)という目的を設定し、計画、実践、検証、再現に関する要素を

 

「BIMをつなぐ10のことば」

 

としてピックアップし、それぞれを研究会のメンバーが分担して執筆しました。

●「BIMをつなぐ10のことば」と執筆者
1 BIM ROI (村井一)
2 BIM Life Cycle Design (猪里孝司)
3 BIM Development Management (濱地和雄、菱田哲也)
4 Concurrent BIM (安井謙介)
5 BIM Reliability (宮川宏、福士正洋、金子智弥)
6 BIM Sharing (野城智也)
7 BIM Approval (武藤正樹)
8 BIM Players (谷内秀敬、熊懐直哉、井野昭夫、川村晃一郎)
9 BIM Pilot Project (森下有)
10 BIM Roadmap (森下有)

 

「BIMをつなぐ10の言葉」のつながり方イメージ

「BIMをつなぐ10の言葉」のつながり方イメージ

 

いわば、ROIを実現するためのP(計画)→D(実践)→C(検証)→A(処置)のサイクルを、10の要素によって分析したものと言えそうですね。

各ユーザーが“個別最適”なBIM活用を目指しがちの今、東大・生産研を中心とする産学官の研究会から「つなぐBIM」という提言が出てきたことは、全体最適なBIMのワークフローを実現するうえでの、大きなヒントになりそうです。

1時間くらいで読めますので、ぜひ、ここからダウンロードしてみてはいかがでしょうか。

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