管理人のイエイリです。
コンクリート構造物の維持管理では、表面に生じた幅0.2mm以上のひび割れを見つけ、管理していくことが基本です。
しかし、長年、風雨にされされたコンクリート構造物の表面は、傷や汚れ、水ぬれなどの影響でひび割れが見えにくい場合がよくあります。
そこで首都高技術、産業技術総合研究所(以下、産総研)、東北大学は、ひび割れの検出や記録を自動化するコンクリートひび割れ点検支援システムをこのほど開発しました。
デジタルカメラやスマートフォンを使って撮ったコンクリート構造物の表面写真を、インターネットでシステムに送ると、
ナ、ナ、ナ、ナント、
AIがひび割れを自動検出
し、結果を送り返してくれるのです。
このシステムは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」の一環である「道路構造物ひび割れモニタリングシステムの研究開発 」として開発されたものです。
現在、コンクリート構造物のひび割れの検出や記録は、野帳にひび割れ状況をスケッチし、それを事務所に持ち帰ってCAD図面化するという手作業で行われています。
このシステムを使うとひび割れの検出や記録が自動化されるので、手描きのスケッチやCAD図面化の作業が不要になります。そして、撮影した写真の上にひび割れを表示させたまま電子データとして保存できるというメリットもあります。
作業時間は手作業だと300分かかるところが、今回のシステムだと10分の1の30分に短縮されます。
また、ひび割れを高精度に識別するため、様々な状態のコンクリート構造物を撮影してひび割れサンプル画像をたくさん作り、これを「教師データ」としてAI(人工知能)システムに機械学習させました。
こうした精度向上の取り組みにより、従来のひび割れ点検用の画像解析技術では正解率は12%程度でしたが、今回の技術では、
80%以上の高精度
で検出することに成功しました。
産総研では2017年8月3日から2018年度末まで、このシステムを使って「ひび割れ検出Webサービス」を無料公開し、様々なユーザーに試験利用してもらうことで、システムの検出精度や作業効率などの有効性を検証しています。(注:8月7日現在、サービスは改修作業のため一時、中止しています)
やっぱり、AIは建設分野の維持管理と相性がいいみたいですね。