管理人のイエイリです。
工場でホテルや寮などの部屋を丸ごと製作し、現場で積むだけで高層ビルを建設する「モジュラー・コンストラクション」という工法の採用が、北米やアジア太平洋地域などで増えています。
日本では、サトコウ(本社:新潟県上越市)が「SSUT(サット)工法」という名前で鉄骨造内外装仕上げユニットを開発し、ホテルやマンション、老人介護施設などで、多くの建設実績を積んでいます。
内外装までを短工期で施工できるのが特徴ですが、構造的な制限により最大で8階建てまでしか建設できませんでした。
一方、三井住友建設は工場生産したプレキャストコンクリート部材を用いて、高層や超高層ビルを建設する「スクライム工法」や「スクライム-H」工法などの実績があります。
1フロアの躯体を最短3日で施工できますが、現場で内外装仕上げ作業を行っているため、生産性向上には限界がありました。
そこで、サトコウと三井住友建設は、両工法を融合した「スクライム-サット工法」の共同開発に着手しました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
1フロアを最短4日
で施工することが可能なのです。
この工法は三井住友建設の「スクライム工法」や「スクライム-H工法」によって構造体を造り、その中にサトコウの「SSUT工法」を改良した内外装ユニットモジュール「スクライム・ボックス」を配置していくものです。
スクライム・ボックスはプレキャスト梁との干渉を避けるため、梁が通る部分に「切り欠き」が設けられており、構造体の中にピッタリと納まるように設計されています。
高層や超高層のRC造建築物を、ほぼ工場製作の部材だけで建設できるため、高所作業が減って現場の安全性が高まります。
工場製作なので、建設廃棄物の大幅や削減や品質向上などの効果も見込まれます。
現在、三井住友建設では同社の技術研究所(千葉県流山市)で、
実物大模型による試験施工
を行っており、品質や施工性の確認など実用化に向けた作業を行っています。
こうしたモジュラーコンストラクションは、設計段階で干渉部分を徹底的になくし、施工手順もシミュレーションして施工性を確認しておくことが求められます。
三井住友建設のリリースでは触れられていませんでしたが、きっとBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)による様々な検討が行われているのではないでしょうか。
2020年の東京オリンピックまでに、海外から来日する多くの観光客を収容するために、短期間で多くのホテルなどを建設することが求められています。
ひょっとすると、2020年東京オリンピックが日本のモジュラー・コンストラクション発展のきっかけになったと言われる時が来るかもしれませんね。