管理人のイエイリです。
最近、大規模化しているスポーツスタジアムでは、観客席の上部に屋根が配置されたり、開口部が複雑になったりしています。
その結果、グラウンドに敷き詰められた芝生の生育環境にとっては、厳しい状況が生まれています。日射・放射の熱がこもったり、風通しが悪くなったりして、芝生の表面が部分的に高温になりすぎることがあるからです。
そこで、大成建設はスタジアムの芝生育成環境を総合的にシミュレーションするシステム「T-Heats Turf」の機能を改善しました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
気流解析と日射解析を連携
させて、スタジアム内の日射や風、気温、湿度などの分布を見える化できるようにしたのです。
大成建設では2015年に前バージョンの「T-Heat Turf」を開発しましたが、日射やスタンドからの輻射による熱放射解析や芝生表面の熱収支解析と、スタジアム内外の気流・温湿度解析を別々に行い、その結果を手作業で連接させる必要がありました。
今回、開発された新バージョンでは、これらの解析を自動的に連携させられるようにしたので、日射と気流の相互影響などを反映した現実に近い状態を解析できるようになりました。
その結果、スタジアムの設計段階で建物の形を変えると芝生の生育環境にどう影響を与えるかを繰り返し検証したり、風通しの悪さや芝生表面が高温である場所をスピーディーに見つけたりすることができるようになりました。
また、芝生専用の大型送風機を首振り運転することで、グラウンド上にどんな風が吹き、芝生表面温度がどれだけ下がるかといったことも検討できます。送風機の最適な配置や省エネ運転といった、維持管理段階での合理的な運用方法までわかるのです。
今回、新バージョンが開発されたことで、解析用のモデル作成を含めた計算時間は
約5分の1に短縮
されました。
このシステムで適切な換気計画などがシミュレーションできると、芝生の維持管理にかかるライフサイクルコストも大きく削減できそうですね。