管理人のイエイリです。
シンガポールで開催されたインフライベント、「イヤー・オブ・インフラストラクチャー2017(YII2017)」では、測量機器メーカーの米国トプコンとBIM/CIMソフトベンダーのベントレー・システムズが、両社のコラボレーションに関するプレスリリースを3つも発表しました。
両社がコラボレーションするに当たって生み出したキーワードは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
Constructioneering
というものなのです。
つまり、建設(コンストラクション)と設計(エンジニアリング)を融合させた新しい建設手法を意味します。
両社によるコンストラクショニアリングの定義は、「測量、設計、建設可能なモデル構築、出来形データの収集を、データ連携しながら行い、デジタルな建設プロセスを自動化することで、施工段階の改善やコスト低減を目指す取り組み」といった感じです。
両社の連携において、測量機器メーカーのトプコンは、ドローンや3Dレーザースキャナー、モービルマッピングシステム(MMS)、GPS測量機器、そしてICT建機の制御システムなどによって現場の測量や情報化施工、出来形計測などの部分を担います。
一方、ベントレー・システムは「MicroStation」や「OpenRoad」などのBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)/CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)ソフト、「ProjectWise」などのデータ管理・共有システムなどの製品を生かし、設計や運用・維持管理データの管理などを担います。
コンストラクショニアリングにおける両社の業務分担を、リアルな世界である「現場」と、バーチャルな世界である「BIM/CIMモデル」に分けて整理すると、トプコンはリアル→バーチャル、バーチャル→リアルの橋渡しを担い、ベントレーはバーチャルな世界での設計やデータ管理を担う、というよう考えることもできそうです。
これまではリアルな世界とバーチャルな世界をつなぐのに、測量データをCADデータに変換したり、CADデータを図面化して従来の建設手法で施工したりと、人を介した煩雑な作業が多くありました。
この部分がシームレスなデータ連携やICT建機による施工の自動化などで置き換えられるようになると、建設業の生産性は急激に向上していき、
建設業のIoT化
の実現に向けて、大きく前進しそうな予感がします。
コンストラクショニアリングにっていよいよ、人間の思考や熟練技術などに頼ってきた建設業も、コンピューターやITの力を本格活用し、そのメリットを本格的な生産性向上につないで行ける時代が来たようですね。
それから話は変わりますが、今回のYII2017ではもう一つ、大きな関心事がありました。それは当ブログの2017年8月22日付けの記事でご紹介したように、日本の国際協力機構「JICA」の支援プロジェクト、「ガンガ・アクションプランII」が、BIMの国際アワード「Be Inspired」の最終選考に残っていたことです。
10月10日に、最終プレゼンテーションを行い、ガンジス川の汚染が激しい流域に下水処理施設や公衆トイレをあちこちに設置した苦労を、発表者であるNJSコンサルタンツのロヒト・デムビ(Rohit
Dembi)氏は訴えました。
その熱意が実り、見事、「環境エンジニアリングにおけるBIMの進化」という部門で最優秀賞を受賞したのです。唯一の日本関連プロジェクトの受賞は私を含め、日本からの参加者を大いに元気づけてくれました。