管理人のイエイリです。
建築設計事務所のフリーダムアーキテクツデザインは2016年8月、4号建築物の建築確認審査をBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフト、Revitデータを提出した住宅性能評価センターから、日本初の確認済証の交付を受けました。(詳細は、当ブログ2016年9月2日付けの記事を参照)
BIM界の大きな注目を集めたこの出来事の後、2017年6月には4号建築物BIM確認申請テンプレートが、オートデスクの「Autodesk App Store」で無料公開されました。(詳細は、当ブログ2017年5月18日付けの記事を参照)
そして、住宅のBIM建築確認申請はさらに新しい段階を迎えました。フリーダムアーキテクツデザインは住宅性能評価センターに対し、BIMデータを使用して木造3階建て住宅の確認申請を行ったところ
ナ、ナ、ナ、ナント、
国内初の確認済証が交付
されたのです。(トランスコスモスのプレスリリース)
木造3階建て住宅になると、4号建築物に求められる設計図書に加えて、構造図や採光、排煙、換気の計算、日影図などの提出が必要になります。
そこでフリーダムアーキテクツデザインは、住宅性能評価センターの検査項目に基づき、追加で必要となるRevit用のテンプレートを大塚商会に依頼して作成しました。
構造設計はトランスコスモスが担当しました。フリーダムアーキテクツデザインが意匠設計を行ったRevitモデルを受け取り、構造計算書とRevit構造モデルを作成しました。
その構造モデルは、フリーダムアーキテクツデザインが意匠モデルと結合し、住宅性能評価センターにRevitの生データとして申請システム(F-2Web)にアップロードにより提出したのです。
住宅性能評価センターは、提出されたRevitデータの図面と申請書を確認して、問題がない場合にはフリーダムアーキテクツデザインから電子署名入り図面を受け取り、本受付を行います。そして適合なら、確認済証を交付します。
この間、オートデスクはBIMソフト提供者の立場から、技術提供を行いました。
採光や換気、排煙計算は、Revit用のアドインソフトである「REXJ」を使い、Revit用BIMパーツ(ファミリ)の属性情報から冊子の幅や高さ、開口係数などのパラメーター情報を自動的に拾い、計算を行いました。
また、日影図のベースは、Revitのアドインソフトである「ADS-BT」を使い、BIMモデルから高さなどの情報を拾って
数クリックで自動作成
しました。
今後、各社は木造以外の建物や特殊建築物の申請も視野に入れ、BIMデータを使った申請・審査プロセスの確立と普及を目指して協業していきます。
BIMを使って建築確認申請や審査を効率化していくためには、今回ように何を審査するのか、どんな情報が必要なのかを、申請者と審査機関の間で明らかにし、必要十分な項目を絞り込んでいくことが必要です。
BIMを使うと施工図の作成など、他の業務でも簡略化できるものがいろいろとあると思いますので、関係者間で受け渡す情報の内容や種類を話し合うと、いろいろな場面での業務効率化が実現しそうですね。