ドローン測量を毎日実施!フジタが「デイリードローン」を道路工事で実用化
2018年2月22日

管理人のイエイリです。

国土交通省が推進する「i-Construction」などの工事では、ドローン(無人機)からの空撮写真を使って切盛土工事の現場を点群データ化し、さらに3Dモデルに変換して土量の算出を行っています。

このドローン測量は、従来の標尺とトータルステーションによる「点と線」の測量に比べると、広い現場を一気に測量できるのが魅力です。

しかし、現場には空撮写真から3Dモデルを作るときの目印となる「標定点」を何カ所も設置し、事前にその位置を正確に測量しておく面倒な作業が必要なため、2万m2程度の範囲を計測するのに丸1日以上はかかっていました。

そこで大和ハウスグループのフジタは、ドローン測量をスピーディーに行える「デイリードローン」という技術を開発し、同社の道路工事で運用を開始しました。(※「デイリードローン」はフジタが商標登録出願中)

標定点の設置、基準測量からドローンによる空撮、3Dモデル化までの一連の作業にかかる時間を

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

従来比3分の1に短縮

 

したのです。

「デイリードローン」の概念図(資料:特記以外はフジタ)

「デイリードローン」の概念図(資料:特記以外はフジタ)

「デイリードローン」は、毎日の土工作業終了後にドローンを飛ばし、撮影写真データの点群処理から土量までを当日中に完了できる測量技術として開発されました。

スピードアップの秘密は、標定点にエアロセンスが開発したGPS(全地球測位システム)測位機能付きの対空標識「AEROBO(エアロボ)マーカー」を採用したことです。

現場に標定点を設置するだけでその位置データを自動的に送ってくるので、トータルステーションなどによる測量が不要となります。

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GPS内蔵の対空標識「エアロボマーカー」の設置手順。設置してボタンを押すだけで位置情報を自動計算する(写真:エアロセンス)

GPS内蔵の対空標識「エアロボマーカー」の設置手順。設置してボタンを押すだけで位置情報を自動計算する(写真:エアロセンス)

「エアロボマーカー」の解説動画(動画:エアロセンス)

またドローンによる空撮時には、現場の土量管理に必要な精度から写真枚数や画素数、点群密度などを設定しておくことで、データサイズを抑制し、パソコンによる処理時間を大幅に短縮しています。

これらの時短効果により、従来は2万m2の現場を計測するのに合計9時間かかっていたのが、デイリードローンの導入後は3時間に短縮されました。

「デイリードローン」によるドローン測量の時間短縮効果

「デイリードローン」によるドローン測量の時間短縮効果

気になる精度ですが、出来形精度は±50mm程度、土量算出の誤差は±5%以内となり、日々の施工管理には十分なレベルになっています。

写真撮影時の設定条件を変更すれば、

 

i-Constructionの要求精度

 

も確保できるので、目的に合わせた精度で柔軟に運用することも可能です。

ドローン測量はこれまで、工事を始める前の起工測量や、完成時の出来形測量に活用されてきましたが、施工途中の日々の土量算出に使えるほど、手軽ではありませんでした。

また、最近はインターネットとウェブブラウザーから、クラウドシステムに空撮写真をアップロードし、3Dモデルを作るサービスも提供されていますが、解析処理に半日程度かかったり、通信環境の悪い山間部の現場では使いにくかったりという問題もありました。

フジタは、現場が求めるその時々の精度に基づいて、コスト、測量工数をうまく調整し、ドローン測量を“普段使い”できるツールに見事、仕上げました。建設会社ならではのドローン活用術と言えそうですね。

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