管理人のイエイリです。
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)で重要なのは、各部材のモデルに格納されている属性情報「I」を有効利用することだ、という声は以前からあります。
しかし、BIMのモデリングルールが企業間で統一されていないと、せっかくのBIMモデルも設計段階から施工、維持管理へと引き継がれていく間に設計段階で入力された「I」が有効利用されず、捨てられてしまうのが現状です。
こうした状況を打開しようと、日建設計は構造設計BIMのモデリングルールを公開し、広めるため「Structural BIM Design Tool」(略称:SBDT)というウェブサイトを2018年3月16日に立ち上げました。
そして同社がBIMソフト「Revit」で構築してきた、構造BIM用のテンプレートやファミリ(BIMパーツ)などの膨大なデータを、
ナ、ナ、ナ、ナント、
惜しげもなく無料公開
してしまったのです。
中でも「Structural BIM Design Tool」(REVIT2017対応ツール一式)というデータは、テンプレートやファミリから断面表作成プログラム、そしてマニュアルまでがそろっています。
試しにダウンロードしてみたところ、圧縮ファイルの状態で約220MBもありました。
付属しているマニュアルは157ページもあり、Revit2017を使って構造一般図(伏図・軸組図)を作成するための操作手順とルールが詳しく解説されています。これを読むだけでも、構造BIMのことがかなり理解できそうです。
このツールで作図などの処理を、アドインプログラムで自動化するためには、ファミリはすべてSBDTサイトからダウンロードしたものを使う必要があります。
構造BIM的な機能としては、段差のあるスラブの周囲をスムーズにつなぐ「スラブハンチ」や、柱や梁の鉄骨のオフセット、
断面表作成プログラム
「SLM」による断面表の作成などがあります。
このほか、構造パースで特定の符号を持った部材の色を変えてわかりやすくするなどのテクニックも紹介されています。
日建設計はこれまでも、BIMソフト「ARCHICAD」の基本を学べるラーニングサイト「ARCHICAD-Learning.com」や、RhinocerosやGrasshopperを学べる「Rhino-GH.com」など、BIMの貴重な資料を惜しげもなく無料公開しています。
今回、Revitによる構造BIMのデータ公開により、設計から施工、維持管理へと構造BIMの「I」を連携させながら、生産性の向上などが実現できることを願っています。