管理人のイエイリです。
コンクリート構造物の維持管理用に、AI(人工知能)によるひび割れ自動検出技術がまた進化しました。
大林組は富士フイルムが開発したAIによる社会インフラ画像診断サービス「ひびみっけ」(2018年4月2日付けの当ブログ記事を参照)と、特殊な高性能カメラで撮影した土木構造物の写真を使って、0.05mm以上のひび割れを
ナ、ナ、ナ、ナント、
100%検出に成功
したのです。
通常、コンクリートの維持管理では幅0.2mm以上のひび割れが管理対象になりますので、それよりもずっと小さなひび割れも見逃さない性能ですね。
また、人間の近接目視によるひび割れ幅計測結果との適合率も90%以上になることを確認しました。(大林組のプレスリリースはこちら)
富士フイルムの「ひびみっけ」は、コンクリートの写真をクラウドにアップロードすると、数分後にひび割れを検出して結果を得られるものです。
大林組が使用した高性能カメラは、通常のカメラに比べて撮影素子のサイズが大きく、色の階調も多いものです。そのため一度に撮影できる範囲が10m×7m程度に拡大し、2000万画素のデジタルカメラに比べて撮影枚数が5分の1程度と少なくなります。
対象物から従来の2倍程度離れて撮影した写真も使えます。例えば、最大50m程度離れたところから撮影した写真でも0.1mm幅のひび割れを検出できるので、高架橋の橋桁や橋脚なども地上から撮影した写真でOKです。
幅4.5m×高さ2m×長さ25mのボックスカルバートを使用して行った検証では、近接目視による点検作業に比べて4分の1の作業時間でほぼ同等の結果を得ることができました。
さらにスゴいことに、人間が
目視で見落としたひび
も、AIは見逃さないことです。
このほか、これまでは自動検出が難しかったトンネル内部の暗い場所や曲面でも、検出が可能になりました。
コンクリートのひび割れをスピーディーに見つけるという仕事では、AIは既に人間の能力を超えたのかもしれませんね。