図面から3D鉄筋が!職業大が施工実習用のAR教材を開発
2018年6月18日

管理人のイエイリです。

3次元的に入り組んだ鉄筋や型枠の形を、平面図や立面図、断面図など図面から正確に理解するのは、初心者にとって難しいものです。

例えば、下の図面から、どんな鉄筋が組み上がるのか、想像してみてください。あなたはわかりましたか。

 

2次元図面で表した鉄筋配筋図の例。立体の完成形を想像できる人は、相当なプロでしょう(以下の資料:職業能力開発総合大学校准教授 西澤秀喜氏)

2次元図面で表した鉄筋配筋図の例。立体の完成形を想像できる人は、相当なプロでしょう(以下の資料:職業能力開発総合大学校准教授 西澤秀喜氏)

 

そこで、職業能力開発総合大学校で鉄筋工や型枠工などの職業訓練に携わる西澤秀喜准教授らは、図面からどんな鉄筋や型枠ができるのかを手軽に確かめられる施工実習用の教材「職業大AR配筋図アプリ」を開発しました。

施工実習用の教材「職業大AR配筋図アプリ」

施工実習用の教材「職業大AR配筋図アプリ」

図面にタブレット端末やスマートフォンをかざすだけで、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

3D鉄筋が立ち上がる

 

のです。

タブレットを持って机上の図面の周囲を回ると、3Dモデルも図面に連動して回ります。

先ほどの図面にタブレットを重ねると、3Dの鉄筋が図面上に立ち上がる

先ほどの図面にタブレットを重ねると、3Dの鉄筋が図面上に立ち上がる

また、実習現場でコンクリート打設が終了した基礎梁に、タブレットを向けると基礎梁上にこれから組み立てる鉄筋が3Dイメージで表示されます。

コンクリ打設が終わった基礎梁にタブレットを向けると、鉄筋の3Dイメージが浮かび上がる

コンクリ打設が終わった基礎梁にタブレットを向けると、鉄筋の3Dイメージが浮かび上がる

つまり、AR(拡張現実)の技術を使って紙の図面や実習現場という現実の世界に、鉄筋の仮想3Dモデルを重ね合わせて表示しているのです。

ARというと、現実の世界と仮想の3Dモデルの位置や四角、大きさを合わせて表示するために「マーカー」という目印が必要になります。

このシステムでは、図面に書かれた図形の一部をマーカーとして利用するので、特にマーカーらしいものは必要ありません。

また、実習現場ではGPS(全地球測位システム)の位置情報をマーカーとして利用しています。

この教材は、プラージュの「ARcube」(iOS版Android版)をもとに開発されました。実習現場用のシステムは、グレープシティのwikitubeを使って専用アプリを開発したそうです。

西澤教授らの施工教育用教材開発は、これだけにとどまりません。鉄筋や住宅基礎、柱と梁の接合部などの作り方を

 

3D施工手順や動画

 

で解説する教材も開発したのです。

柱と梁の接合部の鉄筋、型枠を3Dモデル化したもの

柱と梁の接合部の鉄筋、型枠を3Dモデル化したもの

施工段階ごとに表示が変化する3D施工手順図

施工段階ごとに表示が変化する3D施工手順図

梁と柱の接合部の施工手順を解説した動画

梁と柱の接合部の施工手順を解説した動画

以上のコンテンツは、図面上の図形が「マーカー」となり画面上に呼び出される

以上のコンテンツは、図面上の図形が「マーカー」となり画面上に呼び出される

これらの3D施工手順や動画も、図面上の図形がマーカーとなり、それをタブレットやスマホが認識すると画面に現れる仕組みです。

2Dの図面と3Dの鉄筋イメージや施工手順を何度も見比べることで、図面を読み解く力だけでなく、どんな順番でものを作っていけばいいのかを想像する力がスピーディーに養われそうですね。

そして、AR育ちの若い職人さんたちは、施工現場に3DやARなどをどんどん持ち込み、ベテランを上回る生産性を発揮するかもしれません。そんな未来の現場が、楽しみですね。

職業大AR配筋図アプリ」については、2018年9月4日~6日、東北大学川内北キャンパスで開催される「日本建築学会大会[東北]」で発表される予定です。ご興味のある方は、どうぞ。

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