日建連企業の7割がBIM導入!「施工BIMのスタイル 事例集2018」で明らかに
2018年7月5日

管理人のイエイリです。

日本建設業連合会(日建連)では、建築生産委員会IT推進部会傘下のBIM専門部会が「施工BIMのスタイル」と題するシリーズの冊子を2014年から発刊しています。

特に2016年から隔年で発刊されている「事例集」は、日建連の会員企業でのBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)取り組みの最新事例が、豊富なイラストとともに掲載されており、見逃せません。

そしてこのほど「施工BIMのスタイル 事例集2018」が発刊され、日建連のホームページから無料でダウンロードできるようになりました。

「施工BIMのスタイル 事例集2018」の表紙(以下の資料:「施工BIMのスタイル 事例集2018」より)

「施工BIMのスタイル 事例集2018」の表紙(以下の資料:「施工BIMのスタイル 事例集2018」より)

各社の掲載事例。最新の施工BIMの取り組みがグラフィカルに紹介され、工事への貢献度も星の数でわかりやすく表現されている

各社の掲載事例。最新の施工BIMの取り組みがグラフィカルに紹介され、工事への貢献度も星の数でわかりやすく表現されている

今回の事例集は、2017年10月~11月にかけて日建連会員企業64社(建築部門)と、過去に日建連の意見交換会に参加した専門工事会社28社を対象に行ったアンケートをまとめたものです。

施工BIMの“プレイヤー”と言えば、スーパーゼネコンを中心とした常連のメンバーが思い浮かびますが、新しいメンバーも続々と登場しています。

というのも、「事例集2018」の調べによると、施工BIMを導入している建設会社は

ナ、ナ、ナ、ナント、

日建連会員企業の67%

にも達しているからなのです。

日建連会員企業64社のうち67%が施工BIMに取り組んでいることが明らかに

日建連会員企業64社のうち67%が施工BIMに取り組んでいることが明らかに

また、以前はまず図面を作ってから3DのBIMモデルを立ち上げる「図面先行型」の方が多かったのですが、今回の調査では「BIM先行型」の方が増えているのも特徴です。

以前は「図面先行型」が多かったが、今回の調査では「BIM先行型」が逆転した

以前は「図面先行型」が多かったが、今回の調査では「BIM先行型」が逆転した

各社の施工BIM事例を見ていると、プロジェクト関係者間での合意形成や干渉防止・納まりの確認、施工性検討などに、BIMが大きな力を発揮しているのがわかります。

同時に、元請け・下請け間など企業間のBIM活用も増えており、新しい言葉も出てきました。

その一つがフジタの事例に登場する「VHO(バーチャル・ハンドオーバー)」です。文字通り、ホンモノの建物を施主に引き渡す前に、竣工予定のBIMモデルを引き渡し、施設運用者の視点で保守点検ルートの調整を行いました。

フジタのVHOの事例。工事完成前に施主が保守点検ルートの調整を行った

フジタのVHOの事例。工事完成前に施主が保守点検ルートの調整を行った

このほか、3Dレーザースキャナーによる山留め計画(鴻池組)や、3次元木格子の加工データ作成(佐藤工業)、BIMの“後発”企業である鉄建建設の鉄骨建て方シミュレーションなども注目です。

3Dレーザースキャナーによる鴻池組の山留め計画

3Dレーザースキャナーによる鴻池組の山留め計画

BIMモデルから3次元曲面を持つ木格子の工場加工データを作成した佐藤工業の事例

BIMモデルから3次元曲面を持つ木格子の工場加工データを作成した佐藤工業の事例

BIMの“後発”企業である鉄建建設も、鉄骨建て方シミュレーションなどで手戻りのない施工を実現

BIMの“後発”企業である鉄建建設も、鉄骨建て方シミュレーションなどで手戻りのない施工を実現

一方、専門工事会社についても「神は細部に宿る」という言葉が思い出されるような、詳細なBIMモデルを活用した事例が満載です。

例えば高砂熱学工業は、建築とび工を交えた施工検討で、高天井部での足場の盛り替え作業を減らすことに成功しました。

ヤマトは保温材をつけた加工配管を工場で製作し、保温材付きのまま現場で取り付けることで作業を効率化しました。

建築とび工を交えた施工検討で高天井部での足場盛り替え作業を減らした高砂熱学工業の事例

建築とび工を交えた施工検討で高天井部での足場盛り替え作業を減らした高砂熱学工業の事例

保温材付きの加工管を工場製作し、そのまま現場で取り付けたヤマトの事例

保温材付きの加工管を工場製作し、そのまま現場で取り付けたヤマトの事例

また、西部鉄工は、詳細な鉄骨モデルと積算を連動させることにより数量を透明化し、積算工数を低減するとともに

フェアな契約、積算

も実現することができました。

BIMモデルと積算を連動させた西部鉄工の事例

BIMモデルと積算を連動させた西部鉄工の事例

この事例集を編集するのは、大変な作業のようです。関係者のFacebookの投稿にも、会合の様子などが時々、レポートされています。

こうした貴重な成果を、日建連のホームページで惜しげもなく無料公開してくださった編集メンバーの皆様には、心から感謝したいと思います。

そして、一番の恩返しは、この事例集を参考にして、施工BIMを全国の現場で実践していくことではないでしょうか。

「事例集2018」の編集に携わったメンバーの皆さん。ありがとうございます!

「事例集2018」の編集に携わったメンバーの皆さん。ありがとうございます!

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