ミリ単位の変位もIoT化!古野電気とエコモットがみちびき対応の現場監視システム
2018年8月27日

管理人のイエイリです。

道路や鉄道工事の現場、構造物の維持管理では、構造物の変位をミリ単位で測り、管理していくことが重要です。その作業はこれまで、トータルステーションやレベルなどで計測したり、定期的にセンサーの値をチェックしたりと、人手がかかるものでした。

しかし、こうした手間ひまのかかる作業も、2017年から行われている準天頂衛星「みちびき」の打ち上げなどによって、GNSS(全地球測位システム)を利用したものに変わりつつあります。

2018年8月24日、古野電気(本社:兵庫県西宮市) はエコモット(本社:札幌市)と協業し、GNSS自動変位計測システム「DANA」を活用したクラウドソリューション「DANA CLOUD(ダーナ・クラウド)」を市場投入することを、それぞれ発表しました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

ミリ単位の変位を定点観測

するだけでなく、現場に設置されている他のセンサーからのデータもまとめてクラウドサーバーで一元管理できるものなのです。

GNSS自動変位計測システム「DANA」の外観。左がGNSSセンサー、右がソーラー電源(以下の写真、資料:特記以外は古野電気)

GNSS自動変位計測システム「DANA」の外観。左がGNSSセンサー、右がソーラー電源(以下の写真、資料:特記以外は古野電気)

「DANA」による道路擁壁の変位観測イメージ

「DANA」による道路擁壁の変位観測イメージ

DANA CLOUDは、(1)GNSS変位計測センサー、(2)回線集約器、(3)中継器からなっており、回線集約器と各計測ポイントの間は無線LANで接続されます。

回線集約器に集まったデータは、3G回線でインターネットを経由し、クラウドサーバーなどに送られます。

それぞれの計測ポイントにはソーラー電源が付いているため、センサー間の接続や電源工事などで配線作業がほとんどいらないのもありがたいですね。

GNSSによって精密な変位計測などを行う場合、「基準点」の設置が面倒でしたが、DANA CLOUDでは変位計測エリア外に基準点を配置し、「GNSSスタティック測位法」によって計測できるので、機器の設置が簡単かつ低コストです。

「DANA CLOUD」の運用イメージ。計測センサーと回線集約器の間は無線LANで接続され、ソーラー電源を装備している

「DANA CLOUD」の運用イメージ。計測センサーと回線集約器の間は無線LANで接続され、ソーラー電源を装備している

用途としては土木工事の施工中における地盤・構造物の変位や道路の維持管理、盛り土や法面の変位、火山活動による山体の膨張・収縮などが想定されています。

もちろん、国土交通省が推進する「i-Construction」施策に対応した現場の生産性向上ソリューションとしての展開も、積極的に図っていくとのことです。

 

「DANA CLOUD」の想定用途(資料:エコモット)

「DANA CLOUD」の想定用途(資料:エコモット)

エコモットは融雪装置の遠隔制御や工事現場の施工支援など、

“泥臭い分野”をIoT化

することを強みとする、建設業界のベンチャー企業です。(IoT:モノのインターネット)

2007年に創業して以来、2017年6月に札幌証券取引所アンビシャス市場へ、2018年6月に東京証券取引所マザーズへ上場と、急成長を続けています。

これまでの計測作業は、地盤や構造物の変位、現場の気温・湿度や雨量、加速度などそれぞれ別々に計測、記録し、これらを施工管理者の頭の中で統合して様々なリスクや異常を判断してきました。

こうした現場データをセンサーで自動計測し、クラウドで一元管理することがいよいよ可能になってきました。今後、AI(人工知能)によるデータの分析や監視などが進むと、データ計測・管理分野の省人化がいっそう進みそうですね。

なお、このシステムは2018年8月28日~30日、千葉・幕張メッセで開催される「建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO)」でエコモットのブース(F14)に展示されるます。ご興味のある方はどうぞ!

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