動線が最小になる平面図とは?清水建設が病院設計支援システムを開発
2018年8月21日

管理人のイエイリです。

病院内では医薬品やリネン、病院食など様々な物品が行き交い、薬剤師や看護師、病院スタッフなどが日々、運んでいます。

この搬送作業を効率化するためには、搬送距離をトータルに考えて、最小化するように部屋や廊下のレイアウトを考える必要があります。

ただ、いったいどんな搬送作業があるのかはわかりにくく、設計者も、物流を考慮した最適な平面図を描くのは難しかったのではないでしょうか。

そこで清水建設は、物流動線を考慮した病院の設計を行えるように、病院物流動線計画支援システム「サプライくん」を開発・実用化しました。

病院内で発生する多様で複雑な物流動線を、

ナ、ナ、ナ、ナント、

わかりやすく見える化

するシステムなのです。(清水建設のプレスリリースはこちら

「サプライくん」による搬送経路のシミュレーション例。リネンや食事、薬剤などの動きが一目瞭然だ(以下の資料:清水建設)

「サプライくん」による搬送経路のシミュレーション例。リネンや食事、薬剤などの動きが一目瞭然だ(以下の資料:清水建設)

始めに病床数や各階の平面図などの基本情報を入力し、物流に関する諸室や通路、エレベーターをシステムに認識させるためのアイコンを配置します。

すると薬剤やリネン、医療材料などの物品別に搬送作業をシミュレーションし、最短の搬送経路や搬送距離、搬送状況の3Dアニメーションを表示します。

単に搬送経路や距離だけでなく、時間がかち合うと行き交うスタッフによる混雑なども考慮する点が、実際的ですね。

基本情報の入力から結果の表示までに要する時間は、2~3時間で済みます。

ある物品について動線の距離が異常に長い場合は、部屋の配置を変えたり、搬送時間帯を変えたりしながら、再度シミュレーションします。こうした作業を繰り返すことで、物流動線を最適化した平面図ができあがるというわけです。

病院は、経営者のほか医師や薬剤師などのスタッフ、入院患者や来院者など多くの人々が行き交います。

このシステムで、物流動線を見える化することで、動線計画についての合意形成が容易になるほか、物流の改善も定量的に評価できるようになりますね。

物品ごとの物流動線を既存建物と新築建物で比較した例

物品ごとの物流動線を既存建物と新築建物で比較した例

薬剤師などのスタッフの動きを3Dアニメーションで表現することで、結果がリアルに理解できる

薬剤師などのスタッフの動きを3Dアニメーションで表現することで、結果がリアルに理解できる

気になるお値段ですが、病院の物流動線を評価・計画するコンサルティング業務を行う場合、200床規模の病院で屋100万円程度ということです。

今後はサプライくんの3Dアニメーションを自動解析する機能のほか、

CADやBIMとの連動

も目指していくとのことです。

建物の設計も、動線を最小化するという条件で設計を追求していくと、思わぬ平面図ができるかもしれませんね。

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