管理人のイエイリです。
電気自動車(EV)のバッテリーは、スマートハウスで使われているものより大きな容量のものが搭載されています。
例えば、日産リーフ「NISMO」のバッテリーは総電圧350V、総電力量40kWHと住宅用の約10倍もの大きさです。
そこで三井住友建設と東京海洋大学は、災害時に大規模停電が起こったとき、EVのバッテリーを非常用電源として使えないかと考え、東京都内にある43階建ての超高層マンションで日本初の実験を行いました。
停電時を想定し、フル充電の電気自動車を使ってこのマンションのエレベーターを動かしてみたものです。その結果、
ナ、ナ、ナ、ナント、
最上階まで100往復
もできることがわかったのです。(三井住友建設のリリースはこちら)
EVからの直流電力は、「変換装置」を通して交流の動力電源に変換し、エレベーターに供給します。また、電力の流れやEVの充電料をリアルタイムに計測する「モニタリング装置」も付いています。
これらの設備があるだけで、非常用発電機などを持たない建物でも、停電時にエレベーターを動かすことができます。そして上層階の住民が避難したり、水や食料などの物資を上層階に輸送したりすることができるのです。
「でも、EVのバッテリーを使い切ってしまったら、どうするの?」という素朴な疑問も生まれてきそうです。
その対策もちゃんと用意されていました。EVを再充電する手段として、
船舶の電源
を活用するのです。
三井住友建設は、東京海洋大学が進めてきた船舶電源を活用した非常時の電力供給システムに、EVも組み合わせた「陸・海 電力コネクティング」を着想し、共同開発を進めてきました。
2017年度は横須賀市役所・久里浜行政センターのエレベーターで実証実験を行い、非常用発電機に頼らない緊急時の電源供給と効率的なエレベーター運行についてのノウハウを蓄積してきました。
三井住友建設は今後、カーシェアリングやエレベーター遠隔監視サービスとの提携や、非常時の電源確保体制など、集合住宅の管理組合向けのサービス体制を構築し、事業化に向けた活動を進めていくとのことです。
大きなバッテリーを持ち、自力で移動できるEVを、船舶からマンションまで電気を届ける「電力ケーブル」のように使うアイデアには驚かされました。ぜひ、実現してもらいたいですね。