BIMモデルに検査結果を自動入力!竹中工務店が設備検査業務をデジタル化
2019年1月22日

管理人のイエイリです。

工事現場やメンテナンス作業で行う検査業務は、転記、転記の連続と言っても過言ではありません。

検査結果をまず紙の野帳に手書きし、事務所に戻ってからパソコンに入力して報告書を作り、さらにBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデルで維持管理を行う場合は、その報告書をBIMモデルにひも付けたり、内容を転記したりする作業が必要です。

現場での入力に、デジタル測定器やタブレット端末、スマートフォンなどを使う時代になっても、データの流れは基本的に手作業に頼っていました。

そこで竹中工務店は、デジタル化による施工管理業務の効率アップ策の一環として、新しい設備検査手法を構築しました。

現場で水圧や照度、風量などを計測するデジタル測定器のデータを、

ナ、ナ、ナ、ナント、

BIMモデルの属性情報

に自動入力できるようにしたのです。

デジタル測定器とBIMモデルを連携させた検査のデジタル化イメージ(以下の資料:竹中工務店)

デジタル測定器とBIMモデルを連携させた検査のデジタル化イメージ(以下の資料:竹中工務店)

その結果、様々な測定データはBIMモデルに一元的に集約して管理できるようになり、測定の効率化や検査報告書の自動作成を行えるようになりました。

また、データが1カ所に集約されているため、過去にさかのぼってデータを確認する「トレーサビリティー」もやりやすくなります。

BIMモデルに測定データを取り込む仕組みは、各デジタル測定器メーカーとの協業や、BIMモデルの属性情報を追加入力できるコンピュータシステム研究所の「BIM/CIM Ark」を使用することにより開発しました。

竹中工務店では同社の作業所で、「水圧・満水試験」や「照度測定」、「風量測定」にこのシステムを使い、検証しました。

試験準備から検査報告書作成までの検査時間を検証したところ、水圧・満水試験では20%程度の検査効率の向上を確認しました。

水圧・満水試験では約20%の検査時間が短縮された

水圧・満水試験では約20%の検査時間が短縮された

また、照度・風量測定ではさらなる効果が発揮され、

50%測定人員を削減

でき、2人から1人への省人化が実現したことが確認されました。

BIMモデルは建物の3Dモデルに、様々なデータベースを内蔵することで、コンピューターやICT(情報通信技術)、AI(人工知能)などによる処理が行いやすいのがメリットです。

しかし、BIMモデルを作ったり、属性情報を入力したりする作業は、いまだに手作業が多いのが現状です。

竹中工務店はこの設備検査手法を同社の実プロジェクトに導入することを目指すほか、施工データをAIやIoT(モノのインターネット)などと連携し、付加価値の高い建物の提供を目指していきます。

BIMによる生産性向上は、“分母”となる時間短縮だけでなく、“分子”となる付加価値をアップする戦略も、そろそろ出始めてきたようですね。

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