IoT、AIで生産性向上!国交省“PRISMプロジェクト”の成功事例が続々公開へ
2019年2月8日

管理人のイエイリです。

最近、大企業版のi-Con成功事例として世の中に出始めたのが、通称“PRISM(プリズム)プロジェクト”と言われる延べ33件の工事です。

正式には「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」というものですが、内閣府の「官民研究開発投資拡大プログラム」(略称:PRISM)の資金を活用しているため、こう呼ばれています。

その特徴は、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、ロボット、クラウドコンピューティングなどを得意とするIT関連企業と、国交省の工事を受注している建設会社が。

コンソーシアムを結成

して、国交省に技術提案を行うことです。

技術提案の内容は、(1)データを活用して施工の労働生産性の向上を図る技術と、(2)データを活用して品質管理の高度化等を図る技術の2種類が設定され、採択されたコンソーシアム(企業連合)には1件当たり5000万円の経費が支給される仕組みです。

“PRISM”プロジェクトの実施イメージ(資料:国土交通省)

“PRISM”プロジェクトの実施イメージ(資料:国土交通省)

(1)労働生産性の向上で採択された19プロジェクト(クリックすると拡大表示されます)

(1)労働生産性の向上で採択された19プロジェクト(クリックすると拡大表示されます)

(2)品質管理の高度化等で採択された14プロジェクト(左右の資料:国土交通省)

(2)品質管理の高度化等で採択された14プロジェクト(左右の資料:国土交通省)

このうち、(1)に採択された一つが、第1回「i-Construction大賞」で最優秀賞に輝いたカナツ技建工業(本社:島根県松江市)のほか、福井コンピュータ、ライカジオシステムズ、山陽測器からなるコンソーシアムです。

同コンソーシアムでは山陰道の「静間仁摩道路大国高架橋外下部工事」で、コンクリート橋台や橋脚の出来形管理に、レーザースキャナー機能を持つトータルステーションを活用することで、従来よりも効率的かつ安全に作業を行うことができました。(詳しくは、カナツ技建工業のウェブサイトで

2018年12月12日に計測した仁摩インター橋P1橋脚の場所杭の施工現場(写真:カナツ技建工業)

2018年12月12日に計測した仁摩インター橋P1橋脚の場所杭の施工現場(写真:カナツ技建工業)

レーザースキャナー機能付きのトータルステーションによる3Dスキャニング(写真:カナツ技建工業)

レーザースキャナー機能付きのトータルステーションによる3Dスキャニング(写真:カナツ技建工業)

取得された点群データなど(資料:カナツ技建工業)

取得された点群データなど(資料:カナツ技建工業)

こうした成功例が惜しみなく発表されたのは、“PRISMプロジェクト”では、ICTを活用した結果を、

広報することを義務づけ

ているからです。

そのため、今後、続々とあっと驚くようなi-Conの成功例が発表されることが予想されます。

「建設ITワールド」でも既にIHIインフラ建設らによる湖陵多岐道路 多岐インター橋におけるAR(拡張現実)などによる施工管理の例を公開しており、今後は日本国土開発らによる湖陵多岐道路の例や、日本電気・鹿島建設による小石原ダムの例を掲載していく予定です。

IHIインフラ建設らによる湖陵多岐道路 多岐インター橋におけるAR(拡張現実)などによる施工管理の例(資料:国土交通省)

IHIインフラ建設らによる湖陵多岐道路 多岐インター橋におけるAR(拡張現実)などによる施工管理の例(資料:国土交通省)

日本国土開発らによる鳥取西道路 重山トンネルでのセンサー付き型枠やAI、MMSを使った施工管理の例(資料:国土交通省)

日本国土開発らによる鳥取西道路 重山トンネルでのセンサー付き型枠やAI、MMSを使った施工管理の例(資料:国土交通省)

日本電気と鹿島建設による小石原川ダムの監視カメラによる施工現場の映像取得と解析の例(資料:国土交通省)

日本電気と鹿島建設による小石原川ダムの監視カメラによる施工現場の映像取得と解析の例(資料:国土交通省)

プロジェクトの成功事例が広く公開されることは、同業他社にとって参考になるだけでなく、ICT化に取り組もうという動機付けにも効果的ですね。国土交通省は発注者として、i-Con大賞やPRISMプロジェクトの成功例を広く公開しているのは、すばらしいことだと思います。

一方、民間のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)などは、プロジェクトは受発注者間の「守秘義務」が壁となって、好事例があってもなかなか表に出てこないことが多々あります。差し支えない範囲で、成功例がどんどん出てくるようになれば、BIMもさらに発展していくのではないでしょうか。

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