点群で効率アップ!首都高のインフラドクターが空港の維持管理に進出
2019年3月15日

管理人のイエイリです。

空港の滑走路は、一見、平らなようですが実は1%前後の縦断勾配が付いていることがあります。空港の維持管理では、この勾配が国の基準に適合しているかどうかを確認するため、これまでは手作業で定期的に勾配を計測していました。

空港は広大な構造物であるだけに、計測には多くの時間がかかっていました。

そこで2019年4月から東京急行電鉄(以下、東急電鉄)などが運営を開始する富士山静岡空港では、

ナ、ナ、ナ、ナント、

3Dスキャナーと高精度カメラ

を搭載した「インフラドクター」という車両を使って勾配計測作業を効率化する取り組みが行われているのです。(首都高など4社のプレスリリースはこちら

富士山静岡空港で滑走路などの点群計測を行う「インフラドクター」(特記以外の写真、資料:首都高速道路、東京急行電鉄、首都高技術、グローバル・インフラ・マネジメント)

富士山静岡空港で滑走路などの点群計測を行う「インフラドクター」(特記以外の写真、資料:首都高速道路、東京急行電鉄、首都高技術、グローバル・インフラ・マネジメント)

インフラドクターの外観

インフラドクターの外観

インフラドクターとは、首都高速道路(以下、首都高)グループが開発した道路構造物用の維持管理システムです。

3Dレーザースキャナーによって路面や周囲の構造物を点群計測し、地理情報システム(GIS)と連携させることで、異常箇所の発見や構造物の3Dモデル作成などを行えるもので、点検作業や維持補修計画の立案などを大幅に効率化できます。

首都高、東急電鉄、首都高技術、グローバル・インフラ・マネジメントの4社は、2019年2月下旬、富士山静岡空港(面積:約120ha)でインフラドクターを使った計測を行いました。

このとき、高精度のラインセンサーカメラも搭載して、路面の画像も撮影しました。

インフラドクターに搭載された3Dレーザースキャナーと高精度のラインカメラ

インフラドクターに搭載された3Dレーザースキャナーと高精度のラインカメラ

富士山静岡空港の平面図

富士山静岡空港の平面図

その結果、滑走路などの勾配計測が短時間で行えただけでなく、ひび割れやわだち掘れなどの

路面性状調査

も同時に行うことができたのです。

従来、勾配計測と路線性状調査は別々に行っていたましたが、インフラドクターで現場の状況を丸ごとデータ化することで、空港の保守点検作業が大幅に省力化されることが期待できます。

似たような話は、鉄道分野でも進んでおり、伊豆急行線や東急線では、“鉄道版インフラドクター”によって計測が終了し、レールや架線、ホームなどの点群データ化が完了しています。現在は「建築限界の自動検出」などの開発も進めているとのことです。(詳しくは、2018年9月20日付けの当ブログ記事を参照

鉄道台車で走行する“鉄道版インフラドクター”のイメージ図(資料:首都高速道路)

鉄道台車で走行する“鉄道版インフラドクター”のイメージ図(資料:首都高速道路)

伊豆急行線で計測した点群データの例

伊豆急行線で計測した点群データの例

「点と線」を結ぶように、手作業で行っていた計測を、3Dレーザースキャナーやデジタルカメラによる「まとめ計測」に変えるだけで、様々な構造物の保守点検が省力化できそうですね。

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