HoloLensの精度が20倍に!その秘密は望遠鏡のない測量機との連携にあった
2019年5月29日

管理人のイエイリです。

リアルな現場と、バーチャルな3DモデルやCAD図面を実物大で重ねて見られるMR(複合現実)デバイス「Microsoft HoloLens(マイクロソフト ホロレンズ)」を、施工管理に使う機運が高まっています。

HoloLensを使った施工管理のイメージ(写真:家入龍太)

HoloLensを使った施工管理のイメージ(写真:家入龍太)

このとき重要なのが、現場と3Dモデルなどの位置合わせです。これまでは「マーカー」と呼ばれる原点を現場に置き、それを目印にして現場と3Dモデルの位置を合わせていました。

しかし、課題もありました。マーカーから離れていくと、だんだん位置合わせの精度が悪くなり、これまでは原点から10m離れると3cmくらいの誤差が出ていたのです。

現場に配置したマーカーの例(写真:家入龍太)

現場に配置したマーカーの例(写真:家入龍太)

その問題がこのほど解決されました。トプコンの墨出し用測量機「LN-100」とHoloLensを連携させることにより、

ナ、ナ、ナ、ナント、

30m先で誤差5mm

という、驚異の高精度が実現されたのです。(インフォマティクスのプレスリリースはこちら

HoloLensとLN-100の連携イメージ(資料:インフォマティクスの資料をもとに当サイトが作成)

HoloLensとLN-100の連携イメージ(資料:インフォマティクスの資料をもとに当サイトが作成)

ヘルメット上部にトータルステーションによる測量で使われる受光用のプリズムを取り付け、LN-100でその位置を追跡することにより、HoloLensの位置座標が高精度にわかります。

そして、インフォマティクスが開発したMR用ソフト「GyroEye Holo」とHoloLensに、測定した位置座標を連携させることで、実寸大の3DモデルやCAD図面を高精度に現場に重ね合わせることができるのです。

インフォマティクス本社の廊下で行った実験(以下の写真、資料:特記以外はインフォマティクス)

インフォマティクス本社の廊下で行った実験(以下の写真、資料:特記以外はインフォマティクス)

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原点から31m先で精度を検証したところ、5mm以内の誤差に収まった。1回目(上)と2回目(下)でCADの線がほぼ同じ位置に表示されているのがわかる

原点から31m先で精度を検証したところ、5mm以内の誤差に収まった。1回目(上)と2回目(下)でCADの線がほぼ同じ位置に表示されているのがわかる

トプコンの「LN-100」は、これまでの測量機器には必須とも言える望遠鏡が付いていません。にもかかわらず、

プリズムを自動追尾

して、トータルステーションのように高精度で測定する変わった測量機です。

トプコンの墨出し用測量機「LN-100」(写真:家入龍太)

トプコンの墨出し用測量機「LN-100」(写真:家入龍太)

このシステムは、福井県大野市でIHIインフラ建設が施工中の「大野油坂道路九頭竜川橋上部工事」の現場でも、実証実験が行われました。

福井県大野市の橋梁建設現場で行われた実証実験

福井県大野市の橋梁建設現場で行われた実証実験

このシステムは「GyroEye Holo TS+」(仮称)として、2019年夏ごろ、千代田測器から発売される予定です。

今年は現行のHoloLensに比べて、視野角が上下左右にそれぞれ2倍に広がり、精度も高くなった、「HoloLens2」も発売される予定です。LN-100との連携で、精度面でも桁違いに改善が進んだことで、HoloLensによる施工管理はぐっと実用性が高まりそうですね。

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