酔っ払い運転も!台湾警察大学の日本製ドライブシミュレーターによる訓練を直撃
2019年5月8日

管理人のイエイリです。

台湾桃園市にある中央警察大学は、台湾警察の幹部養成を担うエリート校です。

ここで、日本のフォーラムエイトが開発したVR(バーチャルリアリティー)ソフト「UC-win/Road」やドライビングシミュレーターが使われているとの情報を入手したので、平成最後の仕事として直撃取材を試みました。

中央警察大学の校舎(以下の写真:家入龍太)

中央警察大学の校舎(以下の写真:家入龍太)

校舎の一角には、フォーラムエイト製ドライビングシミュレーターが3台設置されていた

校舎の一角には、フォーラムエイト製ドライビングシミュレーターが3台設置されていた

台湾警察のエリートと教官たち。ドライビングシミュレーターの運転席に座っている方が、交通学科長のピーチャン・チャンさん

台湾警察のエリートと教官たち。ドライビングシミュレーターの運転席に座っている方が、交通学科長のピーチャン・チャンさん

このドライビングシミュレーターは、実物のクルマの動きを物理法則に従って忠実に再現できるものです。

これを台湾警察のエリートたちが訓練に使っていると聞いて、真っ先に想像したのが犯人とのカーチェイスやクルマの前に回り込んで停車されるための激しい訓練でした。

しかし、実際の使い方は

ナ、ナ、ナ、ナント、

安全運転を極める

ことを追究するという、極めてオーソドックスなものだったのです。

ドライビングシミュレーターの訓練に先立って講義する陳家福教官

ドライビングシミュレーターの訓練に先立って講義する陳家福教官

この日の訓練では、台湾で活躍中の若手警察官が集まっていました。まずは教官の陳家福氏がドライビングシミュレーターの解説を行い、早速自らが“お手本”として台湾の市街地を再現したVRの中を運転してみせます。

ところが、突然、交差点に飛び出すクルマや、突然、車道側のドアを開けるクルマなどに翻弄(ほんろう)されて、早速、事故ってみせるというパフォーマンスで、安全運転がいかに難しいかを説いていました。

運転の“お手本”を見せる陳教官。早速、事故るというパフォーマンスも

運転の“お手本”を見せる陳教官。早速、事故るというパフォーマンスも

続いて、若手警察官がシミュレーターに座り、代わる代わる運転を体験しました。VRにはバイクが多い、トンネルを抜けたら悪天候だったなど、台湾の交通事情に応じた25種類のシナリオが組み込まれています。

これらをクリアしながら、完走することで安全運転のスキルが養成されるというわけです。警察官の中には、高速道路での取り締まりに従事している人もいて、さすがに上手に運転していました。

ドライビングシミュレーターで訓練する女性警察官

ドライビングシミュレーターで訓練する女性警察官

前方を走るバイクは、突然、車線を変えるなど予測不能な動きをするので注意が必要だ

前方を走るバイクは、突然、車線を変えるなど予測不能な動きをするので注意が必要だ

VRのコースに仕込まれた25種類のシナリオ

VRのコースに仕込まれた25種類のシナリオ

台湾の人は日本人に比べて、あまりお酒を飲まない人が多いようですが、中には酔っぱらい運転のクルマもいます。

そこで、このドライビングシミュレーターは、飲酒が運転に与える影響を調べるという目的も重要な活用目的の一つとなっています。

既に、酔っ払い運転の実証実験も計画されており、ビールやワインなどのほか

アルコール度数50

超えるお酒など、様々な酒類も購入済みとのことです。

実車で酔っぱらい運転をするのは危険ですが、ドライビングシミュレーターなら、自分では「酔っていない」と思っても、ハンドルやブレーキの操作が実際にどう変わるのかを警察官自身も体験できるというわけです。

きっと、警察官の皆さんは、現場で交通取り締まりを行う際に、説得力ある話ができるようになりそうですね。

このドライビングシミュレーターは、2018年11月に東京で開催された「第17回3D・VRシミュレーションコンテスト オン・クラウド」で発表され、アイデア賞を受賞しました。実際に運転している動画が公開されていますので、ご興味のある方はご覧ください。

アイデア賞の賞状を掲げるチェン学科長

アイデア賞の賞状を掲げるチェン学科長

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