管理人のイエイリです。
工事現場をIT化するツールとして、タブレット端末の「iPad」をいかに活用するかに関心が集まっています。
MetaMoJi(本社:東京都港区)が開発・販売するデジタル野帳アプリ「eYACHO for Business」(以下、eYACHO)は、これまで施工管理者にとって必須だった野帳の機能をiPadに移植し、さらにパワーアップしたツールとしてユーザーが年々増えています。
「eYACHO」の特長は紙の野帳と同様に、iPadにメモやデータを手書きでスピーディーに書き込み、クラウドでリアルタイムに共有できる「シェア機能」があることです。
そのため、これまでは工事関係者が1カ所に集まって1枚の用紙やホワイトボードに書いて集約していた情報を、iPadによってどこからでも書き込み、集約できる“バーチャル寄せ書き”ができるので、移動のムダ、時間調整のムダがなくなります。
その最新版である「eYACHO for Business 5」の新製品発表会が2019年6月6日、東京・市ヶ谷で開催されました。
今回、追加された目玉機能の一つは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
工事写真台帳
や電子黒板機能など、工事写真の管理機能なのです。(MetaMoJiのプレスリリースはこちら)
iPad上で黒板に記入し、現場で撮影すると、その写真データから工事写真台帳を作成したり、出来形管理表を作成したりすることができます。
また、JACIC(日本建設情報総合センター)の小黒板情報電子化対応ソフトに認定されているので、工事写真の電子納品にも使えます。
このほか、追加された機能としては「レイヤー編集機能」があります。1枚の図面などを担当者別のレイヤーに分けて必要に応じて表示や編集が行えるのです。
もちろん、全部を重ねて表示することもできるので、効率的に情報を集約できます。
クラウドサーバー上に協力会社ごとのフォルダーを作り、ユーザーのアクセス権限を自由自在に設定できる機能も付きました。クラウドサーバーは、MetaMoJiが用意したサーバーのほか、Boxなど商用のクラウドサーバーや自社サーバーも利用できます。
記者発表では、eYACHOを現場で活用している大林組と前田建設工業のユーザーからも、報告がありました。
大林組はMetaMoJiとともに、eYACHOを共同開発してきた立場ですが、2015年にまず建築部門でVer1を約5700台のiPadに導入して以来、土木部門や海外部門などでの利用者が拡大し、Ver5は約9300台のiPadで活用しています。iPadには標準的にeYACHOをインストールしているとのことです。
また、前田建設工業では2016年からeYACHOを導入し、現場管理での移動時間の削減や書類作成の削減、コミュニケーションの高度化などに役立てているとのことです。
同社の土木部のデータによれば、iPadの利用率が高いほど、
労働時間が短くなる
傾向があるそうです。
なお、eYACHO for Business 5(クラウド版)の気になる利用料金ですが、1ライセンス当たり年間2万8000円(税別)、初期導入費用が30万円(同)とのことです。
現場の必須ITツールになりつつあるiPadですが、これからは様々なアプリをいかに現場のワークフローに合わせて導入し、生産性を上げていくのかという“戦略的活用”が課題になりそうですね。