重機の訓練は室内で!コマツが鉱山用シミュレーター会社を買収
2019年6月17日

管理人のイエイリです。

海外の鉱山は、地上から巨大な穴を掘り下げながら、鉱石を掘削・運搬する露天掘りなど、スケールが違います。

使われているバックホーやダンプトラックなども巨大で、一般の建設現場で使われている重機が横に並ぶと、おもちゃのように見えてしまうほどです。

これだけ巨大な重機を運転するオペレーターは、どのように育成しているかというと、

ナ、ナ、ナ、ナント、

建機シミュレーター

を使って訓練しているのです。

オーストラリアのパースにあるイマーシブ社(Immersive Technologies Pty Ltd.)は、露天掘りや坑内掘りなどの鉱山の種類に応じた様々な重機の訓練用シミュレーター開発やトレーニング事業を世界規模で行っています。

鉱山用重機の訓練用シミュレーター「LX6」。上下左右に視界が広く、座席の傾きや振動も再現している(以下の資料:Immersive Technologies Pty Ltd. )

鉱山用重機の訓練用シミュレーター「LX6」。上下左右に視界が広く、座席の傾きや振動も再現している(以下の資料:Immersive Technologies Pty Ltd. )

現場を再現したVRはリアリティー満点だ

現場を再現したVRはリアリティー満点だ

例えば、「LX6」というシミュレーターは6面のHD(1920×1080画素)モニターを備え、座席の振動や傾きも再現するモーションプレート付きです。

さらに鉱山の状況を「シナリオ」を切り替えることで様々なシチュエーションを再現できるようになっています。

これだけでもかなりのリアリティーですが、さらにリアリティーを追求した機種もあります。

露天掘り鉱山用の「PRO4」は、運転席を囲むように配置された“業界唯一”の180°曲面スクリーンを備えており、つなぎ目のないリアルな映像が見られます。

さらにシミュレーター自体が部屋のようになっているため、後ろのドアを閉めるとバックのモニターにも現場の映像が映り、振り返って周囲を確認するという動作も行えます。

露天掘り用のシミュレーターの「PRO4」。180°曲面スクリーンを備えている

露天掘り用のシミュレーターの「PRO4」。180°曲面スクリーンを備えている

また、地下鉱山用の「IM360-B」というシミュレーターは、露天掘り用のPRO4より小型ですが、高解像度の360°ディスプレーを備えており、閉塞感は満点。これまでにないリアリティーを再現しています。

地下鉱山用のシミュレーター「IM360-B」。360°ディスプレーを備えている

地下鉱山用のシミュレーター「IM360-B」。360°ディスプレーを備えている

このシミュレーターや訓練方式に目を付けたのが、日本を代表する建機メーカーのコマツです。同社は2019年7月1日に、

ナ、ナ、ナ、ナント、

このイマーシブ社を買収

することになったのです。(コマツのプレスリリースはこちら

コマツは2019年4月から3カ年の中期経営計画で、「DANTOTSU Value - FORWARD Together for Sustainable Growth」という取り組みをスタートさせました。

「安全で生産性の高いスマートでクリーンな未来の現場」を実現するため、イマーシブ社のソリューションを組み込んでいく方針とのことです。

コマツの中期経営計画に掲げられた「ダントツバリュー」のイメージ

コマツの中期経営計画に掲げられた「ダントツバリュー」のイメージ

巨大な重機の訓練を実際の機械で行うと、ジェット旅客機の訓練のように燃料費や機械の損料が相当かさみそうなので、これからはシミュレーターによる訓練が主流になってくるでしょうね。この流れは、建設現場で使われる建機も例外ではなさそうです。

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