VR化で座って作業も!大成建設がトンネルのコンクリ吹き付け作業を革新
2019年7月18日

管理人のイエイリです。

山岳トンネルの掘削最前線(切り羽)では、掘りたての山肌が崩れてこないようにするため、コンクリートを吹き付けて固める作業が行われています。

これまでは、コンクリート吹き付け機のリモコンを持った作業者が切り羽近くに立ち、山肌への吹き付け状況を目で確認しながら、吹き付け機を操作していました。

しかし、作業者にとってこの作業は、切り羽からの土砂崩落や吹き付け材の跳ね返り、発生する粉じんなどに見舞われる危険で過酷なものでした。

そこで大成建設は、コンクリート吹き付け作業の安全性向上と環境改善を実現するため、コンクリート吹き付け作業の遠隔操作技術「T-iROBO Remote Shotcreting(ティーアイロボ・リモート・ショットクリーティング)」を開発しました。

このシステムを使うと、作業者は切り羽から離れた場所で

ナ、ナ、ナ、ナント、

イスに座ったまま

超ラクにコンクリート作業が行えるのです。(大成建設のプレスリリースはこちら

切り羽付近に配置された2台のカメラ映像が、HMDに送られ、作業者は臨場感あふれる立体映像を見ながら作業できる

切り羽付近に配置された2台のカメラ映像が、HMDに送られ、作業者は臨場感あふれる立体映像を見ながら作業できる

切り羽でのコンクリート吹き付け状況を確かめるのは、作業者が着けたヘッドマウントディスプレー(HMD)に送られてくるステレオ映像です。

切り羽付近には魚眼レンズ付きカメラを2台収めたカメラボックスやLED投光器が配置されており、そこで撮影された超リアルな切り羽の映像がHMDに送られてくるのです。これは同社が2016年に開発した「T-iROBO Remote Viewer(ティーアイロボ・リモート・ビューワー)」というシステムを活用しています。

作業者はこの立体映像を見ながら、吹き付け作業を行います。首を上下左右に振ると、映像の方向もそれに同期して上下左右に変化するため、切り羽近くにいるような遠近感や臨場感をもって作業が行えます。

 

切り羽付近に配置された2台のカメラ映像が、HMDに送られ、作業者は臨場感あふれる立体映像を見ながら作業できる

切り羽付近に配置された2台のカメラ映像が、HMDに送られ、作業者は臨場感あふれる立体映像を見ながら作業できる

 

切り羽に吹き付け中の作業を撮影するカメラやLED投光器

切り羽に吹き付け中の作業を撮影するカメラやLED投光器

吹き付け作業が切り羽の左右に移動すると、カメラボックスとLED投光器はレール上を移動し、常に吹き付け作業が行われている方向をとらえます。

また、魚眼レンズは超広角の映像を撮影できるため、カメラの方向を頻繁に切り替える必要はありません。カメラの移動は、吹き付けホース介添え者が補助します。

大成建設はこのシステムを実際の山岳トンネ工事(南山造成 読売ランド線トンネル築造工事)で使用し、HMDを使って安全かつ効率的に吹き付け作業が行えることを確認しました。

今後は全国の山岳トンネル工事に展開しながら改良を進め、

切り羽での無人化施工

の実現を目指すとのことです。

カメラで撮影した離れたところの映像を、あたか目の前にあるように見るという点では、VR(バーチャルリアリティー)の一種と言ってもよさそうですね。

大成建設ではソフトバンクと組んで、第5世代移動通信システム「5G」を活用した建設機械の制御などにも取り組んでいます。5G時代になるとカメラで撮影したリアルな映像を、さらに離れた場所で見たり建機の操作に使ったりと“遠隔型VR”の用途はさらに広がってきそうです。

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