管理人のイエイリです。
賃貸不動産の取引は、人間が賃料を査定し、地元の仲介業者が貸し手と借り手をつなぎ、仲介手数料を取るという数十年来の伝統的なビジネスモデルが今なお、生き続けており、他業界に比べて「20年は遅れている」とも言われます。
それが今、AI(人工知能)やクラウドなどのIT(情報通信技術)を武器に、20代~30代の若者たちが大変革を始めようとしています。その“決起集会”とも言えるイベント「PROPTECH STARTUP CONFERENCE 2019」が2019年9月20日、東京・半蔵門で開催されました。
Propというのは、不動産を意味するプロパティー(Property)の略、「Tech」はもちろんテクノロジー(Technology)の略です。
そんな言葉は聞いたことがないという方がほとんどでしょう。それもそのはず、「ここ3カ月で定着してきた言葉」だからです。
従来の伝統的な不動産イベントと違うのは、講演者や参加者の服装です。
ナ、ナ、ナ、ナント、
Tシャツやジーパンが標準
と言っても過言ではないのです。
で、参加者や出展者はこの会議でどんな不動産業の新ビジネスをPRしているかというと、従来の不動産ビジネスモデルにはなかったものばかりです。
例えば、Propreはネットやデータベースで流れている不動産の情報を毎日1000万件以上もかき集め、AIによって価格や賃料のほかキーワードを分析し、世界中を125m四方に区切ってそのエリアの特徴をマッピングし、ユーザーに対して最適な物件を紹介するビジネスを展開しています。
また、イタンジはスマートフォンによって開けられるスマートロックを賃貸物件に装着し、お部屋探しをしている人自身が不動産会社スタッフの同行なしで物件を下見できるセルフ内見サービスを展開しています。スマホだけで下見から申し込みまでが完結する、これまでにないビジネスモデルです。
また、Clinはオフィスの清掃業務を対象としたマッチングサービスを展開しています。ウェブサイト上でオフィスの広さや清掃内容をチェックしていくと、それに応じた見積金額の内訳がどんどん表示されていき、清掃を担当するスタッフの予約や支払いが明朗会計で手軽に行えます。
このほか、住宅ローンの申し込みから審査、登記までの時間を最大75%も短縮するサービス(GA technologies)や、ネットやプロジェクターなどの設備が充実した会議室をネット上で時間貸しするサービス(Pitin)、スマホを使って本人確認を行うサービス(TRUSTDOCK)、家具や家電のサブスクリプション(期間貸し)サービス(CLAS)など、スピード感あふれた新サービスがめじろ押しでした。
このほか、新時代の不動産業を印象づける要素としては、セミナーで講演者が発表する前後に司会者が
ネーティブ発音の英語
で講演内容や講演者を紹介していたことです。
このほか、10分弱の短い発表を「プレゼン」ではなく「ピッチ」と言うなど、シリコンバレー風な用語も飛び交っていました。
従来の伝統的な不動産業とPropTechの違いを、イエイリの独断と偏見で比較してみましたので、なんとなくわかっていただけましたら幸いです。
●従来の不動産業とPropTechの違い
従来の不動産業 | 項目 | PropTech |
中高年が中心 | プレーヤー | 20~30代が中心 |
漢字 | 社名 | アルファベット |
スーツ | 服装 | Tシャツやジーパン |
ジャパングリッシュ | 英語 | ネーティブ発音 |
プレゼン | 発表 | ピッチ |
ローカル | 商圏 | グローバル |
貸し手優位 | 考え方 | Win-Win |
経験と勘 | 成功要因 | AIやIT |
ガラケー | ツール | スマホ |
一次関数的 | 成長速度 | 指数関数的 |