管理人のイエイリです。
2019年10月21日から24日まで、シンガポールで開催されている米ベントレー・システムズ主催のイベント「Year in Infrastructure 2019」(以下、YII2019)では、「デジタルツイン」(デジタルの双子)が大きなテーマになっています。
実物の建物や構造物、工事現場などを、3Dモデルや時間軸を入れた4Dモデルで表現し、コンピューターの力を借りてシミュレーションや最適でムダのない設計・施工・運用・維持管理を行おうというものです。
その規模は、建物や構造物単体から、大学のキャンパスなどへと広がり、さらには
ナ、ナ、ナ、ナント、
都市全体をデジタルツイン化
する「デジタル・シティーズ(Digital Cities)」まで広がっています。(ベントレーシステムズの英文リリースはこちら)
その方法論も、だんだん確立されてきました。
同社はドローンや飛行機によって空撮した写真から、シャープな3Dモデルを作る「ContextCapture」というソフトを開発・販売しています。
空撮写真だけだと、路面やビルのファサードが波打った3Dモデルになってしまいます。
そこで、ベルギーのオービット・ジオスペーシャル・テクノロジーズ(Orbit Geospatial Technologies)を買収し、空撮写真に加えて地上型レーザースキャナーや移動式のMMS(モービルマッピングシステム)で計測した点群データを入れて3Dモデル化することにより、非常に高精度な3Dモデルを簡単に作るという方法を開発しました。
さらに、都市の3Dモデルに、クルマや人の移動情報を加えるため、米国カリフォルニア州サクラメントのシティラブス(Citilabs)も買収しました。
携帯電話のGNSS情報から、クルマや人の移動情報を収集して分析する同社の「CUBE」というシミュレーション技術により、街中を行き交うクルマや人の情報も加えた
“生きたデジタルツイン”
が作れるようになりました。(2社の買収についてのベントレー・システムズの英文リリースはこちら)
BIMの次元は、3D(立体形状)、4D(+時間軸)、5D(+コスト軸)と増えていきますが、デジタルツインではニーズに応じて人の動きや建物・構造物の様々な状態を含むことになるため、「6D」とも言われています。
建築・土木関係者は、デジタルツインを考えるとき、ハードな面だけでなく、ソフトな面も属性情報として求められることになりそうです。そこに、他業種とのコラボレーションの可能性が広がってきそうですね。