管理人のイエイリです。
実際の現場風景に、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)や3Dモデルを重ねて、実寸大で立体視できるMR(複合現実)デバイスとして、マイクロソフトの「HoloLens」が注目されています。
2019年10月21日から24日まで、シンガポールで開催されている米ベントレー・システムズ主催のイベント「Year in Infrastructure 2019」(以下、YII2019)の展示場で、近く発売予定の「HoloLens2」が見られると聞いて探したところ、それらしきブースがあったので行列に並んでみました。
ブースの中に入ってみると、なんやら楽しそうにワイワイガヤガヤ言っている女性の声が聞こえます。
ナ、ナ、ナ、ナント、
実際にHoloLens2を体験
できるようになっていたのです。
HoloLens2を実際に付けてみた感想は「軽い」ということです。Windows10搭載のれっきとしたコンピューターとは思えないくらいの軽快さでした。
そして、うわさに聞いていた通り、視野は初代HoloLensに比べて上下・左右に2倍ずつ広がっており、目の前に見える建物の3Dモデルに近づいても、視野からはみ出て困るという感じはありませんでした。
一方、HoloLens2に対応した施工管理ソフトの開発も進んでいます。その一例は、ベントレー・システムズが2018年度に買収した4D施工管理システム「SYNCHRO」です。
「タイムスライダー」という時間軸のバーを動かすと、建物などが出来上がっていく手順を、アニメーションのようにBIMモデルで見ることができます。
このソフトがHoloLens2に対応したことで、工事中の建物を見ながら、1週間後にはどんな部材や設備が付いているのかや、今日現在で施工済みのものが付いていないなど、工程管理をビジュアルに行うことができます。
そして、驚くべきことに、「SYNCHRO」には
ネットワーク工程表
の計算機能も付いているのです。
この機能を使うと「クリティカルパス法(CPM)」によって各作業の順序や制約条件などを考慮した工程を自動作成してくれるほか、人員・建機などリソースの制限に基づいて工程を平準化する「山崩し」計算も行えます。
「SYNCHRO」には工事の進行に伴って発生する様々なデータや書類を、工程とひもづけて管理したり、クラウドで最新の工事の状況を共有したりと、工事のことならなんでも「ワンストップ」で分かる機能がいろいろと付いているようです。
そのうち、天気予報や地域の行事のカレンダーなどを自動的に取り込んで、AI(人工知能)が工程調整してくれるようになるかもしれませんね。