管理人のイエイリです。
秋のイベントシーズン、全国各地で建設業のIT活用をテーマにした様々なイベントが開かれています。
2019年10月30日には、静岡市駿河区にあるイベント会場「グランシップ」で、「ふじのくに建設イノベーション 新技術交流イベント in Shizuoka 2019」が開催されました。
今回は会場も過去最大の規模となり、展示会場には62団体の78技術が集結し、ステージでは様々な講演やパネルディスカッションが繰り広げられ、大盛況の一日となりました。
事務局を務めるのは、土木の未来を考えるウェブサイト「静岡どぼくらぶ」や、工事現場で計測された点群データを集めた“バーチャル静岡県”こと「Shizuoka Point Cloud DB」を運営するなど、i-Construction界で先進的な取り組みを進めている静岡県交通基盤部です。
それだけに、普通の土木イベントとは違った先進的なシステムも導入されていました。
講演やパネルディスカッションなどの話を
ナ、ナ、ナ、ナント、
リアルタイムでテキスト化
し、舞台上のスクリーンに上映したり、サイトにアップしたりしていたのです。
舞台脇にはノートパソコンの前で3人のスタッフが控えていますが、講演者の話を逐次、キーボード入力しているわけではありません。
これはAI(人工知能)を使った音声書き起こしクラウド「UDトーク」というシステムで、講演者のマイク音声をクラウドに送信すると、テキスト化されて戻ってくるものです。
ただ、たまに誤変換などもあるので、スタッフがその分だけ手作業で修正しているというわけです。しかも、自動翻訳で英語版も作成することが可能です。
AIにテキスト化の仕事の大部分を任せて、人間は少しだけ修正を手伝うという生産性向上策は、今後の建設業の人手不足対策でも活用できそうですね。
イエイリの講演をフルにテキスト化したものをご覧になりたい方は、日本語版はこちら、英語版はこちら から、それぞれダウンロードできます。
しかし、UDトークは土木やICT(情報通信技術)などの専門用語にはあまり対応していないので、事前に“学習”を行いました。
その方法とは、2014年から2019年までの間に「建設ITワールド」の「建設ITブログ」で掲載した
1200本の記事をダウンロード
して、キーワードに分解、そのデータをシステムに読み込ませるというものでした。
当ブログの“個性”である「ナント」は当然、最大級になっていますが、細かいキーワードを見ていくと2014年は「BIM」や「UAV」、「写真」などが目立つのに対し、2019年では「ロボット」、「ドローン」、「データ」が目立つというように、少しずつ話題もシフトしているようです。
ちなみに、このキーワード分析を行ったのは、土木研究所(茨城県つくば市)の技術推進本部 先端技術チームでAIなどの研究を行っている榎本真美さんです。
キーワード分析のプログラムは、自作されたとのこと。土木研究所の研究内容も、i-Construction時代のニーズを先取りしているようですね。
建設ITジャーナリストを標榜する私も、自分の仕事の生産性となると“紺屋の白袴”になりがちですが、イベント自らが生産性向上のお手本を見せた今回のイベントから、私も大いに学びたいと思った次第です。