メガソーラーから道路、トンネルまでにまたがるCIM活用
日本国土開発が選んだ最上級ワークステーション(日本HP)

2015年10月26日

日本国土開発の土木部門は、「メガソーラー」と呼ばれる大規模太陽光発電所の建設では国内有数の実績を誇っている。ドローン(無人機)による広大な敷地の3D計測から約10万枚の太陽光発電パネルの配置、日影シミュレーションなどの業務には非常に大きなコンピューターパワーを必要とする。そこで同社が選んだのは、日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)の最上級ワークステーションだった。

日本HPの最上級ワークステーション「Z840」を活用し、メガソーラーの設計を行う日本国土開発土木本部技術部CIM推進チームの米谷朋恵氏

日本HPの最上級ワークステーション「Z840」を活用し、メガソーラーの設計を行う日本国土開発土木本部技術部CIM推進チームの米谷朋恵氏

   10万枚の太陽光パネルを2時間で配置

日本国土開発は5~6年前から日本国内で40件ものソーラー発電所を建設してきた。神奈川県川崎市扇島に施工した13MWのメガソーラー発電所を皮切りに、2015年10月までの施工実績は合計421.69MWにも上る。

「メガソーラーは起伏のある場所や山間部などでの建設が増えてきました。発電効率を考えながら数万枚もの太陽光パネルを配置する設計作業には、CIMソフトの活用が欠かせません」と、日本国土開発土木本部技術部課長でCIM推進チームリーダーを務める佐野健彦氏は説明する。

そこで同社では、オートデスクのCIMソフト「Infraworks」でメガソーラーの敷地を3DのCIMモデルで表現し、その上に「Civil 3D」で作成した太陽光パネルや埋設管、電力会社の商用電源と接続するためのパワーコンディショナー施設などを配置した。

このCIMモデルを「Infraworks」や「Navisworks」によって、日影シミュレーションや構造物同士の干渉チェックなどを行っている。

起伏のある敷地に配置された太陽光発電パネル

起伏のある敷地に配置された太陽光発電パネル

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電力会社と接続するためのパワーコンディショナー施設(左)や周囲のフェンスも忠実に3Dモデル化

例えば、最近、設計が完了したメガソーラー発電所では、太陽光パネルを縦横4枚ずつ、16枚をセットにした架台を6000台も起伏のある敷地上に配置したCIMモデルを作り、様々な検討を行った。

「例えば、太陽高度が高い午前10時から午後3時の間、太陽光パネル上に他のパネルの影がかかる場合は、架台の位置をずらして影ができないようにしました。また、敷地内に埋設管などが埋まっている場合は、そこを避けてパネルの基礎を配置しました。これらを手作業でやろうとすると2年はかかるでしょう。ところがCIMソフトだとわずか2時間ほどでできてしまったのです」(佐野氏)。

このほか、雪国に建設するメガソーラーは、パネルに積もった雪が地面に落ちるようにパネルの角度を調整したり、雪で埋もれないように架台の高さを設計したりということも求められる。

すべての季節を対象に日影シミュレーションを行い、パネル上に落ちる影を検証した例

すべての季節を対象に日影シミュレーションを行い、パネル上に落ちる影を検証した例

敷地の地下にある埋設管も3Dモデル化し、架台の基礎と干渉しないように位置を調整した

敷地の地下にある埋設管も3Dモデル化し、架台の基礎と干渉しないように位置を調整した

   巨大なCIMモデルを扱うZ800シリーズ

前述のメガソーラー発電所のCIMモデルは、架台の部材一つ一つや基礎と架台をつなぐ特殊な金具、そしてボルト・ナットまで精密に作られている。また、パワーコンディショナー施設の建物には、CIMの練習を兼ねて構造設計用CIMソフト「Revit Structure」を使って鉄筋まで入力してある。これらのデータは数量計算や資材の発注ができるほどの詳細さだ。

そのため、CIMモデル全体のデータ容量は約1.8GBにも上り、ボルト・ナットを省略したモデルでも約800MBに達する。

架台の各部材を精密に再現したCIMモデル

架台の各部材を精密に再現したCIMモデル

日本国土開発本社の土木部門には、7人のスタッフがいる。こうした巨大なCIMモデルデータを扱うために選んだのが日本HPのワークステーションだ。

5年ほど前から、最上級ワークステーションZ800シリーズを導入しはじめ、現在では最新型の「Z840」や「Z820」などがある。

CPUには36コアのIntel Xeon E5-2699v3、メモリーは128GB、グラフィックボードには12GBのビデオメモリーを持つNVIDIA Quadro M6000、そしてシステムディスクには大容量データに高速アクセスが可能なPCI接続のSSDドライブHP Z Turbo ドライブ512GBを採用した、まさに最強のマシンだ。

これとは別に日本HPのモバイルワークステーション「ZBook17」シリーズを1人1台、計7台導入している。こちらもCPUは4コアのIntel Core i7-4810MQ、グラフィックはNVIDIA Quadro K4100M、メモリーは32GBと、大容量のCIMモデルに対応したスペックとなっている。

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日本国土開発本社の土木部門が導入した日本HPのワークステーション。左からデスクトップワークステーションのZ840、Z820、モバイルワークステーションのZBook17

「日本HPのワークステーションを選んだ理由は、性能に比べて価格が安いことと、サポートがしっかりしているからです。万一、故障が発生しても翌日には部品とともにエンジニアがやってきて直してくれるので安心です。ある時は、電話したその日のうちに直してくれたこともありました」と、土木本部技術部長の四宮圭三氏は評価する。

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   ドローンでの測量から情報化施工まで

日本国土開発では、Z800シリーズなどのワークステーションを、幅広いCIM関連業務に生かしている。2015年10月現在でその件数は官民合わせて10件に上っている。プロジェクトの内訳はメガソーラー発電所のほか、道路やトンネル、小水力発電所など多岐にわたる。

最もマシンパワーを必要とする業務の1つがドローンの工事現場での活用だ。ドローンは約20万円の入門機から約1000万円の上級機まで3機を保有し、目的によって使い分けている。

造成現場などを上空からドローンで空撮し、数百枚の写真を航空測量用ソフト「Pix4Dmapper」を利用して地盤面の3D点群データを作成。それをもとに詳細な現況地形のCIMモデルを作成している。

「空撮写真から点群データを作るのには、処理能力の低いパソコンだと数日かかってしまう場合もあります。毎日の施工管理にドローンを活用するには、Z800シリーズのように処理能力の高いワークステーションが欠かせません」と技術部の羽賀研太朗氏は説明する。

また、Civil 3Dなどで行った造成地のCIMモデルをLandXML形式で書き出し、ICTブルドーザーに受け渡すことにより、場所に応じて自動的に排土板の高さを制御する3Dマシンコントロールシステムによる造成工事の情報化施工も行っている。

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現場上空を飛行するUAV(左)で撮影した空撮写真から作成した現況地形の3Dモデル(右)
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造成地のCIMモデル(左)のデータをICTブルドーザー(右)に受け渡し、3Dマシンコントロールによる情報化施工を行った例

ユニークなCIM活用法としては、発泡スチロールブロック製のEPSブロックを使った軽量盛り土の施工管理がある。

EPSブロックの種類や設置日を表計算ソフトのExcelで入力し、そのデータをEPS盛り土のCIMモデルと連携させることにより、任意のEPSブロックの施工情報を表示したり、アニメーション機能で任意の時点での出来形を表示したりできるようにした。

現況地盤の測量には3Dレーザースキャナーを使って点群データを取得。そのデータをCivil 3Dに読み込んで現況地盤と軽量盛り土のすりつけによる位置合わせなどを行った。

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Excelシート(左)にEPSブロックの施工日データを入力すると、CIMモデル(右)にそのデータが受け渡される

このほか、山岳トンネル工事では地盤中に重金属が含まれている部分を水平ボーリング調査のデータをもとに、Civil 3Dや「GEORAMA」で地盤の3Dモデルを作り、残土処理コストの高い地盤の土量算出などに使っている。

また日本国土開発では施工後の維持管理まで設計時のCIMデータを活用した一気通貫のワークフローの実現を目指しているという。

日本HPのワークステーションは、高い計算処理能力と信頼性、そして安心感で日本国土開発のCIMプロジェクトも今後も様々な場面で支えていくことになりそうだ。

日本国土開発のメガソーラー建設やCIM関連業務を支える土木本部技術部のスタッフ。左から羽賀研太朗氏、米谷朋恵氏、高亜麟氏、佐野健彦氏

日本国土開発のメガソーラー建設やCIM関連業務を支える土木本部技術部のスタッフ。左から羽賀研太朗氏、米谷朋恵氏、高亜麟氏、佐野健彦氏

【問い合わせ】
日本ヒューレット・パッカード株式会社
東京都江東区大島2-2-1オンラインストア HP Directplus
TEL : 03-6416-6161
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